取引の​記録と​振り返りを知る

  • レベル やさしい
  • 読む時間 約10分
  • 最終確認日 2026年10月12日
  • 投資を勧めるものではありません

このレッスンで分かること

  • 取引の​記録に​残す項目の​例と、​事業者から​届く​書類の​種類を​説明できる
  • 税の​計算に​取引の​記録が​使われる​ことを、​例で​説明できる
  • 自信過剰や​後知恵が、​研究で​どう​説明されているかを言える

先に読むとよいレッスン:損切りと​いう​考え方を知る、心理のくせと​投資判断を知る、暗号資産と​税金の​基本を知る

例の​数字は、​ことわりの​ない​限り、​説明の​ために​作った​ものです。​実際の​値動きや、​実在の​商品の​数字では​ありません。

目次

記録に​残す項目の例を知る

記録する​項目には、​日付、​数量、​価格、​手数料などが​あります。

点線の​下線が​ある語は、​押すと​意味が出ます。

日本証券業協会(出典「取引報告書|投資の時間|日本証券業協会」を別のタブで開きます)は、を、​売買が​成立すると​数日後に​証券会社から​郵送される​(または​電子書面で​交付される)、​取引の​内容が​記載された​報告書と​説明しています。​約定日、​売り​買いの​別、​銘柄名、​株数、​売買単価、​委託手数料、​受渡代金などが​書かれており、​注文内容に​誤りが​ないか​確認し、​誤りが​あれば​直ちに​取引先に​連絡する​必要が​あると​述べています。

自分で​残す記録の​項目は、​この報告書の​記載を​参考に​考えられます。​売買の​理由は​報告書に​載らないため、​書き残すなら​自分で​書くことに​なります。

記録に​残す項目の​例​(株式の​取引報告書の​記載を​もとに作成⁠)

項目内容の例報告書に載るか
日付売買が​成立した日載る​(⁠約定日⁠)
数量と価格株数と、​1⁠株の値段載る
手数料委託手数料載る
理由なぜ​その売買をしたか載らない

やさしく​言うと、​日付・数量・価格・​手数料は​事業者の​書類にも​載っていますが、​売買の​理由だけは​書類に​載らないので、​自分で​書かないと​残りません。

要点

取引報告書には、​約定日、​株数、​単価、​手数料などが​載ります。​売買の​理由は​載らないため、​自分で​書くことに​なります。

事業者から​届く​書類を知る

取引報告書の​ほかに、​年間の​損益や​数量を​まとめた​書類が​あります。

日本証券業協会(この節の出典の一覧へ)は、を、内の​年間の​譲渡損益等を​証券会社や​金融機関で​計算して​記載した​書類と​説明しています。​顧客と​所管の​税務署へ​交付されます。​特定口座は、​納税に​かかわる​投資家の​負担を​軽減する​ために​設けられた​制度で、​開設時に​「あり」か​「源泉徴収なし​(が​必要)」を​選ぶと​しています。

同じ説明は、​一般​口座や​他の​証券会社の​特定口座との、​譲渡損失のの​特例を​受けるには、​確定申告が​必要と​しています。​暗号資産では、​国税庁(出典「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」を別のタブで開きます)が​暗号資産交換業者に​「年間取引報告書」の​交付を​お願いし​ています。

書類の​種類と、​載る​内容​(原文の説明⁠)

書類主な内容出どころ
取引報告書約定日、​売り​買いの​別、​株数、​単価、​手数料など証券会社
特定口座年間取引報告書特定口座内の​年間の​譲渡損益等証券会社・⁠金融機関
年間取引報告書年中の​購入・売却の​数量と​金額、​支払手数料など暗号資産交換業者

やさしく​言うと、​1回ごとの​記録は​取引報告書、​1年分の​まとめは​年間の​報告書、と​書類が​分かれています。

要点

1回ごとの​取引報告書の​ほかに、​特定口座年間取引報告書や、​暗号資産の​年間取引報告書が​あります。

株式の​税と​記録の​関係を知る

利益の​計算には、​買った​金額や​手数料が​使われます。

国税庁(この節の出典の一覧へ)の​タックスアンサー​(令和8年4月1日時点の​法令等と​表示)は、​上場株式等に​係る​譲渡所得等の​金額を、​総収入金額​(譲渡価額)から​必要経費​(取得費+委託手数料等)を​引いて​計算すると​説明しています。​同じ銘柄を​2回以上に​分けて​買い、​一部を​売った​場合は、​総平均法に​準ずる​方法で​求めた​1単位当たりの​金額を​基に、​取得費を​計算すると​説明しています。

例1:2回に​分けて​買った​株式の取得費

同じ銘柄を​2回買い、​一部を​売りました。​計算の​便宜上、​手数料は​ない​ものとします。

  1. 1回目は​1,000株を​800円で、​2回目は​1,000株を​900円で​買いました。​購入価額の​合計は、​80万円+90万円=170万円です。
  2. 1株あたりの​金額は、​170万円÷2,000株=850⁠円です。
  3. 500株を​950円で​売ると、​売った​金額は​47万5,000円、​取得費は​850円×500株=42万5,000⁠円です。

差の​5万円が、​例1の​譲渡に​よる​利益です​(手数料は​含みません⁠)⁠。

やさしく​言うと、​買った​日・数量・金額の​記録が​そろっていないと、​この計算の​材料が​足りなく​なります。

要点

税の​計算には、​取得費と​委託手数​料等が​使われます。​複数回に​分けて​買った​場合は、​購入ごとの​数量と​金額が​材料に​なります。

確認問題

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暗号資産の​記録の​確かめ方を知る

取引履歴が​手もとに​ない​ときの​確かめ方が、​国税庁の​資料に​あります。

国税庁(この節の出典の一覧へ)の​「暗号資産等に​関する​税務上の​取扱いに​ついて​(情報)」​(令和7年12月)は、​取引履歴を​残していないため取得価額や​売却価額が​分からない​場合の​確認方法を、​取引の​区分ごとに​示しています。​国内の​暗号資産交換業者を​通じた​取引は、​手もとに​年間取引報告書が​なければ、​業者に​(再)​交付を​依頼すると​しています。

国外の​業者や​個人間の​取引は、​購入や​売却に​使った​銀行口座の​出入金の​状況や、​取引履歴と​業者が​公表する​取引相場から、​価額を​確認する​方法が​例に​挙げられ​ています。​年間取引報告書には、​年始数量、​年中購入数量・金額、​年中売却数量・金額、​移入・移出数量、​年末数量、​支払手数料などが​記載され、​様式は​業者に​よって​異なる​場合が​あります。

国税庁は、​年間取引報告書を​基に​「暗号資産の​計算書」を​作成すると、​所得金額を​簡便に​計算できると​しています。​暗号資産の​税金の​基本は、​レッスン​「暗号資産と​税金の​基本を​知る」で​扱いました。

やさしく​言うと、​暗号資産でも、​いつ・どれだけ・いくらで​売買したかの​記録が、​税の​計算の​材料に​なります。

要点

国税庁の​資料は、​取引履歴が​手もとにない​場合の​確認方法を​示しています。​年間取引報告書を​基に​した​計算書も​案内され​ています。

自信過剰と​記録の​関係を知る

自分の​判断を​過大に​評価する​傾向が、​研究で​説明され​ています。

金融広報中央委員会(出典「行動経済学の金融教育への応用の重要性」を別のタブで開きます)の​2012年の​論文は、の​例と​して、​手数料を​考慮しないまま、​金融商品の​売買を​短期間に​繰り返し、​手数料の​支払いがかさむ​ケースを​挙げています。​成功は​自分の​実力、​失敗は​偶然の​せいにしがちな​傾向が​背景に​ある、​とも​説明しています。

アメリカの​研究者らが​2000年に Journal of Finance(出典「Trading Is Hazardous to Your Wealth: The Common Stock Investment Performance of Individual Investors」を別のタブで開きます) に​発表した​論文は、​ある証券会社の​66,465世帯の、​1991年から​1996年の​記録を​調べています。​月ごとの​売買が​多い​世帯と​少ない​世帯で、​手数料などを​引く​前の​成績は​ほとんど​違いませんでしたが、​引いた​あとの​収益率は、​売買の​多い​世帯の​ほうが​低かったと​報告しています。​論文は、​自信過剰が​高い​売買頻度を​説明しうると​述べています。

研究の結果は、過去のデータについての報告です

この研究は、​1991年から​1996年の​アメリカの​個人投資家の​記録です。​日本の​投資家や、​いまの​取引に​同じ結果が​当ては​まるとは​限りません。​売買の​回数が​多い​世帯の​成績が​低かったのは、​この研究の​データでの​結果で、​個々の​人に​当ては​まるとは​限りません。

やさしく​言うと、​売買の​回数と​手数料の​記録は、​自分の​取引の​傾向を​知る​材料に​なります。

要点

自信過剰の​例と​して、​手数料を​考えずに​売買を​繰り返すことが​挙げられ​ています。​研究は​過去の​データに​ついての​報告です。

後知恵バイアスと​記録を知る

結果を​知った​あとは、​前から​分かっていたように​感じる​ことがあります。

Social Cognition(出典「Hindsight Bias: On Being Wise After the Event」を別のタブで開きます) 誌の​2007年の​概説は、を、​結果を​知った​あとで、​前から​分かっていたように​感じる​傾向​(結果を​知ってから​賢くなる​傾向)と​説明しています。​代表的な​研究と​して、​Fischhoffと​Beythが、​事前に​出された​予測と、​結果を​知った​あとに​思い出された​予測を​比べた​ものを​挙げています。​人は、​実際の​予測より、​結果に​近い​予測を​したと​思い出す傾向が​見られました。

概説は、​この傾向が​経験から​学ぶ力を​妨げうると、​研究で​論じられてきたと​述べています。​一方で、​適応的な​学習の​自然な​副産物だと​する​見方も​あり、​学ぶ力との​関係を​直接​調べた​研究は、​驚く​ほど​少ないと​しています。​警告などで​この傾向を​減らす試みは、​成功が​限られていたとも​述べています。

この研究では、​事前の​予測が​記録と​して​残っていたので、​あとの​記憶と​比べる​ことができました。​売買の​理由を​取引の​時点で​書き残してあれば、​あとから​理由を​確かめる​材料に​なります。​ただし、​記録を​残せば​この傾向が​減ると、​資料に​書かれているわけでは​ありません。

やさしく​言うと、​結果を​知った​あとの​記憶は​変わる​ことが​あり、​そのときの​理由は、​そのときに​書いた​ものでしか​確かめられません。

要点

後知恵​バイアスは、​結果を​知った​あとに、​前から​分かっていたと​感じる​傾向です。​事前の​記録が​あれば、​あとの​記憶と​比べられます。

確認問題

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記録と​振り返りの​位置づけを知る

記録の​付け方や、​振り返りで​何を​判断するかは、​人に​よって​違います。

このレッスンで​いう​振り返りは、​記録を​見返して、​事実と​当時の​理由を​確かめる​ことです。​記録の​付け方や、​振り返りで​売買を​どう​変えるかは、​ここでは​指示しません。​損益の​結果だけから、​判断が​正しかったか​どうかは​決められない​場合も​あります。

必要な書類は、所得の種類や金額で決まります

国税庁(この節の出典の一覧へ)は、​令和4年分以後、​前々​年分の​業務に​係る​雑所得の​収入金額が​300万円を​超える​方に、​現金預金取引等関係​書類の​保存が​必要と​案内しています。​暗号資産取引では、​その年の​収入金額が​300万円を​超える​場合に、​帳簿書類の​保存の​有無で​所得の​区分が​分かれるとも​案内しています。​このレッスンの​表に​挙げた​記録の​項目は、​あくまで例です。

税の​計算に​ついては、​国税庁が、​チャットボットや​タックスアンサー、​電話相談​センターを​案内しています。​個別の​取引に​どう​当ては​まるかは、​税務署や​税理士などに​相談できます。

やさしく​言うと、​記録は​「あとで​確かめる​ための​材料」で、​何を​するかの​答えを​出す​ものでは​ありません。

要点

記録は、​事実を​残してあとから​確かめる​材料です。​何を​するかの​答えを​出す​ものではなく、​税は​税務署などに​相談できます。

理解度チェック

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まとめ

このレッスンで​押さえたい​ことです。

  • 取引報告書には、​約定日、​株数、​売買単価、​委託手数料などが​載り、​売買の​理由は​載らないため自分で​書くことに​なります。
  • 1回ごとの​取引報告書の​ほかに、​特定口座年間取引報告書や、​暗号資産の​年間取引報告書が​あります。
  • 国税庁の​説明では、​株式の​譲渡所得等は、​取得費と​委託手数料等を​使って​計算され、​購入ごとの​記録が​材料に​なります。
  • 自信過剰の​例と​して、​手数料を​考えずに​売買を​繰り返すことが​挙げられていて、​研究は​過去の​データに​ついての​報告です。
  • 後知恵​バイアスは、​結果を​知った​あとに​前から​分かっていたと​感じる​傾向で、​事前の​記録が​あれば、​あとの​記憶と​比べられます。

ステップ4の確認テスト

これで、​このステップの​レッスンは​最後です。​確認テストで、​理解を​確かめてみましょう。

10問。成績を​競う​ものでは​ありません。​結果は、​この端末にだけ​保存されます。

確認テストを受ける

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出典と最終確認日

本文で​機関や​資料の​名前を​挙げている​説明は、​その出典に​よる​ものです。​名前を​挙げていない​説明は、​このサイトが​まとめた​ものです。

このレッスンの​事実は 2026年10月12日 に​確認しました。

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