損切りと​いう​考え方を知る

  • レベル やさしい
  • 読む時間 約9分
  • 最終確認日 2026年10月12日
  • 投資を勧めるものではありません

このレッスンで分かること

  • 損切りと、​損切りに​使われる​注文の​呼び名を​説明できる
  • 指定した​水準で​売れるとは​限らない​ことを、​例で​説明できる
  • 損切りを​ためらう​傾向が、​資料で​どう​説明されているかを言える

先に読むとよいレッスン:成行注文と​指値注文のちがい、損失との​向き合い方、心理のくせと​投資判断を知る

例の​数字は、​ことわりの​ない​限り、​説明の​ために​作った​ものです。​実際の​値動きや、​実在の​商品の​数字では​ありません。

目次

損切りの​意味を知る

値下がりして​損が​出ている​状態で​売る​ことを、​損切りと​呼びます。

点線の​下線が​ある語は、​押すと​意味が出ます。

証券会社の​用語集(この節の出典の一覧へ)は、を、​購入時より​価格が​下落して​損失が​生じている​有価証券を、​見切って​売却する​ことと​説明し、​「処分売り」とも​いうと​しています。​別の​証券会社の​用語集は、​ある銘柄に​見切りを​つけ、​損を​覚悟で​売却する​ことと​説明しています。

「ロスカット」と​いう​言葉も、​損切りと​同じ意味で​説明される​ことがあります。​証券会社の​用語集は、を​抱えた​金融商品を​早めに​売却し、​損失額を​確定する​ことで、​「損切り」とも​いうと​しています。​顧客の​損失が​一定の​額に​達した​ときに​行う​決済を​指すと​いう​名前も​あり、​言葉の​使われ方は​場面に​よって​違います。

似た​言葉の​説明​(証券会社の用語集⁠)

言葉資料での説明別の言い方
損切り値下がりで​損が​出ている​有価証券を、​見切って売ること処分売り、​ロスカット
ロスカット含み損の​ある商品を​早めに​売り、​損失額を​確定すること損切り

やさしく​言うと、​損切りは​「損が​出ている​状態で​売って、​その損を​確定させる​こと」の​呼び名です。

要点

損切りは、​値下がりして​損が​出ている​ものを​売り、​損を​確定させる​ことの​呼び名です。​ロスカットとも​説明されます。

損切りに​使う​注文を知る

値段が​下がったら​売る、と​いう​注文を、​あらかじめ出す方法が​あります。

日本取引所​グループ(出典「用語集「逆指値注文」」を別のタブで開きます)の​用語集は、を、​株価が​下落し、​自分の​指値以下に​なった​ときに​売り付ける​注文形態などと​説明しています。​一般的には、​トレンドが​変化した​場合や​損失を​限定する​場合に​利用される​ことが​多いようだと​述べています。​逆指値注文が​各証券会社の​サービスである​ことは、​レッスン​「成行注文と​指値注文の​ちがい」で​見ました。

日本​テクニカルアナリスト​協会(この節の出典の一覧へ)の​用語集​(証券会社の​サイトに​転載)は、​逆指値注文の​使い道の​一つとして、​思惑と​反対方向に​一定以上​動いた​ときに、​損失が​拡大する​前に​売って​ロスカットする​注文を​挙げています。​また、​評価損が​一定割合を​超えたら​ポジション​(持っている​分)を​閉じる、と​事前に​決めた​判断基準を​「ロスカット・ルール」と​呼んでいます。​別の​証券会社の​用語集(この節の出典の一覧へ)は、​「損切り注文」を、​損失を​防ぎ、​または​最小に​する​ための​注文方法と​説明し、​英語では​ストップロスオーダーと​いうと​しています。

ニューヨーク​連邦準備銀行(出典「Stop-Loss Orders and Price Cascades in Currency Markets」を別のタブで開きます)の​経済学者の​2002年の​報告書は、​為替市場の​損失限定の​注文​(ストップロス​注文)を、​レートが​事前に​決めた​水準まで​下がる​(または​上がる)と、​その時点の​市場の​レートで​売る​(または​買う)​ことを​業者に​指示する​注文と​説明しています。​為替市場に​ついての​説明で、​株式の​注文の​仕組みは、​証券会社に​よって​違います。

やさしく​言うと、​「この​値段まで​下がったら​売る」と​あらかじめ決めて​おく​注文が、​逆指値注文です。​損切り注文とも​呼ばれます。

要点

損切りには、​逆指値注文などが​使われると​説明され​ています。​事前に​決めた​判断基準は​「ロスカット・ルール」と​呼ばれます。

決めた​水準で​売れるとは限らない

条件に​届いた​あとは、​成行か​指値の​注文が​出る​仕組みです。

証券会社の​解説(この節の出典の一覧へ)は、​逆指値注文を、​指定した​株価に​届いたら、​あらかじめ登録した​注文を​発注する​仕組みと​説明しています。​届いた​あとに​発注される​注文は、​成行でも​指値でも​よいと、​複数の​証券会社が​説明しています。

そのため、​届いた​あとに​成行で​売る​設定の​場合は、​そのときの​市場の​値段で​売買され、​決めた​水準と​同じ値段に​なるとは​限りません。​成行と​指値の​仕組みから​考えると、​指値で​出す設定では、​値段は​指定できますが、​その値段で​売れずに​注文が​残る​こともあります。​設定できる​内容は、​証券会社に​よって​違います。

例1:決めた​水準と​売れた値段

前日の​終値が​940円の​ある株式に、​930円以下に​なったら​成行で​売る​逆指値注文を​出していました。​水準の​数字は​仕組みを​示すための​値で、​どの水準が​よいかを​示す​ものでは​ありません。

  1. 翌朝、​悪い​知らせが​出て、​株価は​910円から​始まりました。
  2. 930円以下に​なった​ため、​成行の​売り​注文が​発注され、​そのときの​値段の​908円で​売れました。

決めた​水準は​930円でしたが、​売れた​値段は​908円でした。​届いた​あとは​成行で​出る​設定だった​ため、​決めた​水準ちょうどでは​売れませんでした。

例1の図。前日の終値は940円。930円の高さに水平な破線(決めた水準)がある。翌朝は910円から始まり、930円を飛び越えている。そのあと908円で売れた。決めた水準と売れた値段が違う。
図:例1。​株価が​決めた​水準​(破線)を​飛び越えて​始まると、​売れる​値段は​水準より​低くなります。

やさしく​言うと、​逆指値注文は​「この​値段で​売る」と​いう​約束ではなく、​「この​値段に​なったら​注文を​出す」と​いう​仕組みです。

要点

逆指値注文は、​決めた​水準に​届いたら​注文を​出す​仕組みです。​成行の​設定では、​決めた​水準ちょうどで​売れるとは​限りません。

ためらう​傾向を知る

損切りを​先延ばしに​する​傾向が、​行動経済学で​説明され​ています。

金融広報中央委員会(出典「行動経済学の金融教育への応用の重要性」を別のタブで開きます)が​2012年3月に​公表した​論文は、を、​利益を​得た​時の​喜びよりも、​同額の​損失を​被った​ときの​悲しみの​ほうが、​より​強く​感じる​傾向と​説明しています。​論文は、​損切りを​例に、​損失が​出ている​投資を​抱える​消費者の​多くが、​損切りの​実行を​躊躇したり、​損失を​取り返そうと​して、​かえって​投資の​継続や​追加投資を​選んだりする​ケースが​多く​みられると​述べています。

論文は、​損切りを​ためらう​理由を、​損失発生時の​心理的苦痛が​収益発生時の​プラスの​感情を​上回る​ため、​無意識に​先延ばしてしまう​ためと​説明しています。​さらに、​損失の​確率が​大きいと​みられる​場合には、​通常より​危険を​選ぶ​傾向が​あり、​これが​投資の​継続や​追加投資に​つながると​しています。

これは、​レッスン​「心理のくせと​投資判断を​知る」で​見た​損失回避と​同じ考え方です。​論文が​述べているのは、​人に​そうした​傾向が​あると​いう​説明で、​どう​行動するかを​示す​ものでは​ありません。

やさしく​言うと、​「損を​確定させたくない​気持ち」が​強く​働く​ことが​ある、と​いう​説明です。

要点

損失の​苦痛が​利益の​喜びを​上回る​傾向​(損失回避)が、​損切りを​ためらう​理由と​して​説明され​ています。

確認問題

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売買の​記録を​調べた​研究を知る

利益の​出た​銘柄の​ほうが​売られやすい、と​いう​報告が​あります。

アメリカの​研究者 Terrance Odean が​1998年に Journal of Finance(出典「Are Investors Reluctant to Realize Their Losses?」を別のタブで開きます) に​発表した​論文は、​ある証券会社の​1万口座の、​1987年から​1993年の​売買記録を​調べています。​損失が​出ている​投資を​持ち続け、​利益が​出ている​投資を​早く​売る​傾向​()が​あるかを​確かめる​ためです。

論文に​よると、​売却が​あった​日に、​利益が​出ている​銘柄の​うち実際に​売られた​割合は​14.8%、​損失が​出ている​銘柄では​9.8%でした。​論文は、​全体と​して、​投資家は​損失よりも​利益を​実現​(売って​確定)しやすいと​報告しています。​また、​この傾向を、​行動経済学の​プロスペクト理論​(損失と​利益で​感じ方が​違う​ことを​説明する​理論)の​考え方を​広げた​ものとして​位置づけ​ています。

この研究から言えること、言えないこと

これは、​1990年前後の​アメリカの、​1つの​証券会社の​口座の​記録です。​このレッスンでは​売買の​傾向の​報告だけを​取り上げ、​成績への​影響に​関する​報告は​扱いません。​損切りの​ルール​そのものの​効果を​調べた​研究も、​ここでは​取り上げ​ていません。

やさしく​言うと、​「利益が​出た​ものは​売りやすく、​損が​出た​ものは​売りにくい」と​いう​傾向が、​ある時期の​記録で​確認された、と​いう​報告です。

要点

1つの​研究は、​利益が​出ている​銘柄の​ほうが、​損失が​出ている​銘柄より​売られやすかったと​報告しています。

この考え方の​位置づけを知る

損切りは、​判断の​一つの​場面の​呼び名です。

損切りを​する​べきか​どうか、​どの水準で​行うかは、​ここでは​示しません。​資料には、​水準や​割合を​挙げる​ものも​ありますが、​載せません。​損切りは、​売って​損を​確定させる​行為で、​売らずに​持ち続ける​こととの​間で、​どちらにも​結果の​よしあしが​起こりえます。

損切りの注文でも、損失はなくなりません

逆指値などの​注文は、​決めた​水準に​届いた​ときに​注文を​出す​仕組みで、​損失を​完全に​抑える​ものでは​ありません。​成行の​設定では​指定した​水準で​売れるとは​限らず、​指値の​設定では​売れない​こともあり、​売った​あとに​値段が​戻る​こともあります。​注文の​仕組みは​証券会社に​よって​違います。

個別の​状況に​合わせた​相談先と​して、​金融経済教育推進機構​(J-FLEC)(出典「専門家に相談したい | 金融経済教育推進機構 J-FLEC」を別のタブで開きます)は​「J-FLECはじめての​マネープラン」の​無料体験を​案内しています。​J-FLECは、​この無料体験で​提供される​情報は​相談員個人の​意見に​基づき、​個別の​金融商品・サービスに​ついて​提案・推奨する​ことは​できないと​注意しています。

やさしく​言うと、​損切りは​「損が​出ている​ものを​売る」と​いう​行為の​名前で、​するか​どうかの​判断は、​ご自身で​行う​ものです。

要点

損切りの​判断は、​ご自身で​行う​ものです。​注文を​使っても、​決めた​水準ちょうどで​売れるとは​限らず、​損失は​なくなりません。

理解度チェック

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まとめ

このレッスンで​押さえたい​ことです。

  • 損切りは、​値下がりして​損が​出ている​ものを​売り、​損を​確定させる​ことの​呼び名で、​ロスカットとも​説明されます。
  • 損切りには、​値段が​下がったら​売りの​注文を​出す逆指値注文などが​使われると​説明され​ています。
  • 逆指値注文は、​決めた​水準に​届いたら​注文を​出す​仕組みで、​成行の​設定では、​決めた​水準ちょうどで​売れるとは​限りません。
  • 損失の​苦痛が​利益の​喜びを​上回る​損失回避が、​損切りを​ためらう​理由と​して​説明され​ています。
  • 損切りを​する​べきか、​どの水準で​行うかは、​ここでは​示しません。​判断は​ご自身で​行う​ものです。

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出典と最終確認日

本文で​機関や​資料の​名前を​挙げている​説明は、​その出典に​よる​ものです。​名前を​挙げていない​説明は、​このサイトが​まとめた​ものです。

このレッスンの​事実は 2026年10月12日 に​確認しました。

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