分散の​効果と​限界を知る

  • レベル やさしい
  • 読む時間 約9分
  • 最終確認日 2026年10月11日
  • 投資を勧めるものではありません

このレッスンで分かること

  • 一つの​対象に​集中する​リスクと、​分けた​ときの​違いを、​架空の​例で​説明できる
  • 分散の​効果が、​値動きの​異なる​対象を​組み合わせる​ことを​前提に​していると​説明できる
  • 分散しても、​組み合わせた​両方が​下がれば​損失が​出る​こと、​元本割れは​なくならない​ことを​説明できる

先に読むとよいレッスン:長期・積立・分散の​考え方を知る、リスク許容度と​資産配分を知る

目次

一つに​集中する​リスクを知る

一つの​対象に​集めると、​その対象が​値下がりした​とき、​資金全体が​減ります。

知る​ぽると(出典「リスクをコントロールする方法を身につけましょう ─ Let'sチョイ読み!お金の知恵の活かし方|知るぽると」を別のタブで開きます)​(アーカイブと​して​公開されている、​お金の​知識の​サイト)の​コラムは、​資金の​全部を​1つの​株式に​投資する​場合と、​複数の​株式に​投資する​場合では、​トータルで​見たリスクが​異なると​説明しています。​1つの​株式だけに​投資して、​それが​値下がりすれば、​投資した​すべての資金が​減ってしまうと​しています。

同じページは、​ある企業の​株式を​購入した​直後に、​その企業が​倒産してしまう​ことも​起こり​得ると​述べ、​「卵は​1つのかごに​盛るな」と​いう​格言を​紹介しています。​資産運用業協会(出典「資産運用で大切なこと|資産運用業協会」を別のタブで開きます)は、​資産運用で​大切なのは、​投資先や​投資時期などを​分散させる​ことだと​説明しています。

架空の​例:1社に​集める​場合と、​5社に​分ける場合

これは​架空の​数字です。​100万円を、​①1社の​株式に​全額、​②5社の​株式に​20万円ずつ、​投資したとします。​そのうち1社だけが、​価値が​半分に​なる​ほど​値下がりし、​ほかの​会社は​変わらなかったとします​(手数料は​考えません⁠)⁠。

  1. ①で​値下がりしたのが​投資先の​1社だと、​100万円は​50万円に​なり、​損失は​50万円です。
  2. ②で​値下がりしたのが​5社の​うちの​1社なら、​その20万円が​10万円に​なります。​ほかの​4社の​80万円と​合わせて​90万円で、​損失は​10万円です。

1社に​集めると​影響が​大きく、​分けると​1社の​値下がりの​影響は​小さくなります。​ただし、​②でも​損失は​ゼロでは​ありません​(この​教材の計算⁠)⁠。

やさしく​言うと、​「全部を​一つに」だと、​その一つが​転んだ​ときに​全部に​響きます。​分けて​おくと、​一つが​転んでも​響き方は​小さくなります。

要点

一つの​対象に​集めると、​その値下がりが​資金全体に​響きます。​分けると、​一つの​値下がりの​影響は​小さくなります。

分散が​働く​前提を知る

分散の​効果は、​値動きの​異なる​対象を​組み合わせる​ことが​前提です。

点線の​下線が​ある語は、​押すと​意味が出ます。

金融庁(出典「資産形成の基本:NISA特設ウェブサイト:金融庁」を別のタブで開きます)は、​1つの​資産だけに​投資するより、​値動きが​異なる​複数の​資産​(国内・海外、​株式・債券・​不動産など)に​分けて​投資する​ことで、​価格の​変動を​ある程度​抑えられ、​安定的な​運用を​目指せると​説明しています。​J-FLEC(出典「分散投資:ぶんさんとうし | 金融経済教育推進機構 J-FLEC」を別のタブで開きます) も、には、​リスクを​低減する​効果が​期待できると​しています。

知る​ぽると(この節の出典の一覧へ)の​コラムは、​輸出企業と​輸入企業では、​為替相場の​動きに​対して​株価が​逆に​動く​傾向が​あると​考えられ、​両方を​持てば、​一方の​値下がりが​他方の​値上がりで​カバーされる​ことが​期待できると​説明しています。​株式と​債券も、​景気の​変動で​逆の​値動きを​する​傾向が​あると​しています。​平成27・28年用の​資料​「金融商品なんでも​百科」も、​株式と​債券の​景気に​応じた​値動きを、​次の​表のように​説明しています。

株式と​債券の​値動きの​傾向​(知る​ぽるとの​2つの​ページの​説明を​もとに​した整理⁠)

景気株式債券
好景気株価は上昇金利が​上がれば、​価格は下落
不景気株価は下落金利が​下がれば、​価格は上昇

やさしく​言うと、​分けるだけでなく、​「違う​動きを​する​もの」に​分ける​ことが、​効果の​前提です。​値動きが​似た​資産では​効果が​小さくなる​ことは、​レッスン​「長期・積立・分散の​考え方を​知る」でも​扱いました。

要点

分散の​効果は、​値動きが​異なる​複数の​対象を​組み合わせる​ことで​期待されます。

確認問題

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想定どおりに​動かない​場合を知る

価格が​動く​理由は​一つではなく、​組み合わせが​想定どおりに​動くとは​限りません。

知る​ぽると(この節の出典の一覧へ)の​コラムは、​金融商品の​価格変動要因は​複合的で、​前の​節の​例の​とおりに​なるとは​限らないと​述べています。​「金融商品なんでも​百科」も、​ほかにも​変動要因が​あるので、​必ずしも​そうなるとは​限らないと​書いています。​コラムは、​そのうえで、​一つの​対象に​集中せず、​値動きの​異なる​複数の​対象を​バランスよく​組み合わせる​ことで、​価格​変動に​よるリスクを​減らす​可能性が​出てくると​説明しています。

架空の​例:株式も​債券も​下がった年

これは​架空の​数字です。​100万円を、​株式50万円と​債券50万円に​分けました。​ある年は、​株式が​10%、​債券が​2%、​どちらも​下がったとします​(手数料は​考えません⁠)⁠。

  1. 株式は​50万円から​5万円減って、​45万円です。
  2. 債券は​50万円から​1万円減って、​49万円です。
  3. 合計は​94万円で、​6万円の​損失です。

株式だけに​100万円を​投資していた​場合の​損失は​10万円で、​分けた​ことで​損失は​小さくなりました。​しかし、​組み合わせた​両方が​下がった​ため、​損失は​なくなっ​ていません​(この​教材の計算⁠)⁠。

投資信託の​中身が​商品ごとに​違う​ことは、​レッスン​「長期・積立・分散の​考え方を​知る」でも​扱いました。​日本証券業協会(出典「投資信託のリスクの高低はどう見分ける?|投資の時間|日本証券業協会」を別のタブで開きます)は、​一般に​株式の​割合が​大きくなればリスクも​大きくなり、​債券の​割合が​大きくなればリスクは​小さくなるとし、​株式と​債券の​割合はなどで​確認できると​説明しています。

やさしく​言うと、​「分けてあるから​大丈夫」とは​言い​切れません。​何に​分けてあるのかは、​目論見書などで​確かめられます。

要点

組み合わせた​対象が、​想定どおりに​逆の​動きを​するとは​限りません。​投資信託の​中身の​割合は、​目論見書などで​確認できます。

一度に​投資する​注意を知る

時期を​分ける​ことも​分散の​一つですが、​これにも​限りが​あります。

知る​ぽると(この節の出典の一覧へ)の​平成27・28年用の​資料​「金融商品なんでも​百科」は、​退職金のような​まとまった​お金を、​一度に​特定の​株式や​株式投資信託などに​投資した​あと、​2008年の​リーマン・ショックのような​株価の​暴落が​起こると、​株価や​株式投資信託などの​値段が​大きく​下がり、​短期・中期では​元の​金額に​戻らず、​取り返しが​つかなくなる​ことが​あると​述べています。​これは、​一度に​投資するか、​時期を​分けて​投資するかと​いう、​投資方法に​関する​リスクだと​しています。

同じ資料は、​退職金や​相続した​資金のような​多額の​お金では、​投資対象や​投資時期の​分散が​特に​大切だと​説明しています。​知る​ぽるとの​コラムは、​株式や​為替相場などの​動きを​事前に​確実に​読むことは​誰にも​できず、​投資する​タイミングを​分けると、​高値の​ときにだけ​買ってしまうリスクを​減らせると​述べています。

ただし​同じコラムは、​も​万能ではないと​しています。​価格が​中長期的に​下がり続けている​ときは、​時期を​分散しても​損失が​発生し、​投資対象の​選択は​重要で、​対象の​分散も​あわせて​考えると​しています。​積立で​損失が​出る​場合は、​レッスン​「長期・積立・分散の​考え方を​知る」で​扱いました。

やさしく​言うと、​時期を​分けると​「買う​時期の​運」の​影響は​小さく​なりますが、​買った​対象​そのものが​下がり続ける​ときの​損失は​防げません。

要点

時期を​分けると​高値の​ときにだけ買うリスクは​減りますが、​価格が​中長期的に​下がり続けると、​損失は出ます。

確認問題

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分散後も​元本割れはありうる

分散は​損失を​小さく​する​工夫で、​元本割れの​可能性を​なくす仕組みでは​ありません。

知る​ぽると(出典「リスクをコントロールする方法を身につけましょう ─ Let'sチョイ読み!お金の知恵の活かし方|知るぽると」を別のタブで開きます)の​コラムは、​価格変動の​ある金融商品で​運用を​行う​以上、の​可能性を​ゼロに​する​ことは​できないと​しています。​そのうえで、​分散投資に​よって、​リスクを​減らし、​リターンを​相対的に​安定させる​ことは​できると​説明しています。

金融庁(出典「資産形成の基本:NISA特設ウェブサイト:金融庁」を別のタブで開きます)は、​株式や​投資信託などの​運用商品に​投資する​ことで、​預貯金よりも​高いリターンを​期待できる​一方、​元本割れの​おそれも​あると​説明しています。​資産運用業協会(出典「投資信託が持つリスク|資産運用業協会」を別のタブで開きます)は、​投資信託は​値動きの​ある株式や​債券などに​投資する​ため、は​株式市場などの​動向に​より​変動し、​元本の​保証は​ないと​説明しています。

分散の​方向ごとの、​期待される​ことと​注意​(知る​ぽるとの​説明を​もとに​した整理⁠)

方向期待されること注意
対象の分散値動きの​異なる​対象で、​変動を抑える価格の​変動要因は​複合的で、​想定どおりとは限らない
時期の分散高値の​ときにだけ買うリスクを減らす価格が​中長期的に​下がり続けると、​損失が出る

分散しても、元本は保証されません

分散投資は、​特定の​運用結果を​約束する​ものでは​ありません。​損失の​可能性を​小さく​する​考え方であり、​なくす方法では​ありません​(この​教材の補足⁠)⁠。

要点

分散しても、​元本割れの​可能性は​ゼロに​なりません。​分散は、​リスクを​減らし、​リターンを​相対的に​安定させる​考え方です。

理解度チェック

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まとめ

このレッスンで​押さえたい​ことです。

  • 一つの​対象に​集めると、​その値下がりが​資金全体に​響きます。​分けると、​一つの​値下がりの​影響は​小さくなります。
  • 分散の​効果は、​値動きが​異なる​複数の​対象を​組み合わせる​ことで​期待されます。
  • 価格の​変動要因は​複合的で、​組み合わせた​対象が​想定どおりに​逆の​動きを​するとは​限りません。
  • 時期を​分けると​高値の​ときにだけ買うリスクは​減りますが、​価格が​中長期的に​下がり続けると​損失は出ます。
  • 分散しても、​元本割れの​可能性は​ゼロに​なりません。

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出典と最終確認日

このレッスンの​事実は 2026年10月11日 に​確認しました。

ご利用にあたって

この教材は​一般的な​情報を​伝える​ための​もので、​特定の​商品の​売買や​投資を​勧める​ものでは​ありません。​税や​法律など​個別の​判断は、​金融庁や​国税庁などの​公的な​情報を​確かめたうえで、​専門家に​ご相談ください。