暗号資産と​税金の​基本を知る

  • レベル やさしい
  • 読む時間 約10分
  • 最終確認日 2026年10月11日
  • 投資を勧めるものではありません

このレッスンで分かること

  • 暗号資産で​所得が​生じる​主な​場面と、​所得の​区分を​説明できる
  • 利益の​計算の​考え方と、​確定申告が​必要に​なる​一般的な​目安を知る
  • 成立した​税制改正の​内容と、​適用が​始まる​時期の​決まり方を知る

先に読むとよいレッスン:暗号資産とは何か

目次

所得が​生じる​場面を知る

暗号資産を​売ったり、​使ったりして​利益が​出ると、​税金の​対象に​なります。

点線の​下線が​ある語は、​押すと​意味が出ます。

国税庁(この節の出典の一覧へ)は、​暗号資産を​売却または​使用する​ことで​生ずる​利益は、​原則と​して​雑所得に​区分され、​所得税の​確定申告が​必要に​なると​説明しています​(2025年12月1日時点の​法令等に​基づく​情報)。​事業の​一部と​して行う​場合などは、​事業所得に​区分されます​(国税庁の​例を、​この教材で​言い​換えました)。​利益は、​手放した​ときの​価額​(譲渡価額)から、​その暗号資産を​手に​入れるのに​かかった​金額に​あたるなどを​引いて​計算します。​国税庁の​情報に​ある主な​場面は、​次の​とおりです。

暗号資産で​所得が​生じる​主な​場面​(国税庁の​情報を​もとに​した、​この教材の整理⁠)

場面税務上の扱い計算の要点
売却して円にした保有する​暗号資産の売却譲渡価額と​譲渡原価の差額
商品の​購入に使った暗号資産の​譲渡にあたる商品の​価額を​譲渡価額と​して、​差額を出す
他の​暗号資産と交換した交換に​出した​側の​譲渡にあたる受け取った​分の​価額を​譲渡価額と​して、​差額を出す
マイニングなどで取得した取得に​伴う​利益が​課税の対象取得した​時点の​価額​(時価)が​収入になる

やさしく​言うと、​円に​換えた​ときだけでなく、​商品の​購入に​使った​ときや、​別の​暗号資産に​交換した​ときも、​手放した​分の​利益が​計算の​対象に​なります。

要点

売却の​ほか、​商品の​購入や​他の​暗号資産との​交換でも、​利益が​生じれば​課税の​対象に​なります。

所得の​区分と​税の​考え方を知る

暗号資産の​利益は、​原則と​して​雑所得で、​他の​所得と​合計して​税額を​計算します。

国税庁(この節の出典の一覧へ)の​情報は、​暗号資産取引で​生じた​利益を、​原則と​して​(​その他雑所得)に​区分すると​しています。​ただし、​その年の​暗号資産取引に​係る​収入金額が​300万円を​超える​場合は、​帳簿書類​(取引を​記録した​帳簿や​書類)の​保存が​あれば​原則と​して​事業所得、​なければ​原則と​して​雑所得​(業務に​係る​雑所得)に​区分されます。​業務に​係る​雑所得とは、​副業に​係る​収入の​うち、​営利を​目的とした​継続的な​ものです​(国税庁の​タックスアンサ⁠ー⁠)⁠。

国税庁の​タックスアンサーに​よると、は、​各種の​所得金額を​合計して​所得税額を​計算する​制度です。​雑所得の​金額も、​給与所得などの​他の​所得の​金額と​合計して​総所得金額を​求めた​あとで、​税額を​計算します。​所得税の​税率は、​分離課税に​対する​ものなどを​除くと、​5%から​45%までの​7段階に​区分され​ています。​雑所得の​金額の​計算で​生じた​損失は、​給与所得など他の​所得から​差し引く​(する)​ことができない、と​国税庁は​説明しています。

やさしく​言うと、​暗号資産の​利益は​給料などと​合わせて​税額が​決まり、​損を​した​ときに、​その損を​給料から​差し引く​ことは​できません。

要点

暗号資産の​利益は​原則と​して​雑所得で、​他の​所得と​合計して​課税されます。​損失は​他の​所得と​通算できません。

利益の​計算の​考え方を知る

利益は、​売った​価額から、​手に​入れるのに​かかった​金額などを​引いて​計算します。

国税庁(この節の出典の一覧へ)の​情報では、​売却に​よる​所得金額は、​暗号資産の​譲渡価額と​譲渡原価などとの​差額です。​譲渡原価は、​暗号資産の​種類​(名称)​ごとに​計算します。​購入に​手数料を​払った​場合は、​代金に​手数料を​加えた​金額がに​なります。

譲渡原価は、​年初の​分の​評価額と​その年に​取得した​分の​取得価額の​合計から、​年末に​残った​分の​評価額を​引いて​求めます。​この年末の​評価額には、かの​どちらかを​使い、​評価方法の​届出を​しないと​総平均法に​なります。​売却の​際に​払った​手数料なども、​必要経費に​なります。​暗号資産交換業者の​年間取引報告書と、​国税庁の​「暗号資産の​計算書」を​使うと、​簡便に​計算できると​案内され​ています。

架空の​例:売却した​分の​利益を計算する

これは​架空の​例です。​手数料は​考えません。​ある年に、​架空の​暗号資産Xを​4単位、​合計400万円で​購入し、​そのうち1単位を​150万円で​売却しました。​購入は​1回だけです。

  1. 譲渡価額:1単位を​売った​15⁠0⁠万円。
  2. 譲渡原価:400万円÷4単位×1単位=10⁠0⁠万円。
  3. 所得金額:150万円−100万円=5⁠0⁠万円。

この例の​所得金額は​50万円です。​ほかに​必要経費が​あれば、​その額を​差し​引きます。​購入が​複数回ある​場合は、​平均法で​譲渡原価を​求めます。

やさしく​言うと、​「いくらで​手放したか」から​「いくらで​手に​入れたか」を​引いた​ものが、​所得の​計算のもとに​なります。

要点

所得金額は、​譲渡価額から​譲渡原価や​手数料などの​必要経費を​引いて​計算します。

確定申告が​必要に​なる​目安を知る

所得税の​申告が​必要か​どうかは、​働き方と、​暗号資産以外を​含む​所得の​合計で​決まります。

所得税のは、​1月1日から​12月31日までの​1年間の​所得と​税額を​計算して​確定させる​手続です。​申告の​期間は、​原則と​して、​その年の​翌年2月16日から​3月15日までです。

会社員などの​給与所得者の​多くは、​年末調整​(会社が、​毎月の​給与からした​所得税と、​1年間に​納めるべき所得税との​差額を​精算する​手続)で​手続が​済み、​確定申告は​不要です。​ただし、​給与を​1か​所から​受け、​その全部が​源泉徴収の​対象の​場合でも、​給与所得と​退職所得以外の​所得金額の​合計が​20万円を​超える​ときは、​確定申告を​しなければ​なりません​(確定申告で​税金が​還付される​人を​除く)。​この20万円は​所得税の​確定申告に​ついての​目安で、​住民税の​申告は、​この教材では​扱いません。

架空の​例:副業の​所得と​合わせて見る

これは​架空の​例です。​会社員の​サトウさんは、​給与を​1か​所から​受け、​年末調整も​受けています。​この年は、​暗号資産の​売却で​所得金額15万円、​副業の​原稿料で​所得金額8万円が​生じました。

  1. 給与以外の​所得金額を​合計する​:15万円+8万円=2⁠3⁠万円。
  2. 20万円と​比べる​:23万円は​20万円を超える。

この例の​サトウさんは、​国税庁(この節の出典の一覧へ)の​説明に​当ては​めると、​所得税の​確定申告を​しなければ​なりません。​暗号資産の​所得だけなら​20万円以下でも、​他の​所得と​合計して​判断します。

やさしく​言うと、​給与を​1か​所から​受ける​会社員でも、​給料以外の​所得が​合計で​20万円を​超えると​所得税の​確定申告が​必要で、​暗号資産の​分は​売った​額ではなく​利益で​数えます。

要点

給与を​1か​所から​受ける​会社員などでも、​給与と​退職所得以外の​所得金額の​合計が​20万円を​超えると、​所得税の​確定申告が​必要に​なります。

確認問題

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成立した​税制改正を知る

特定の​暗号資産の​売買益を、​他の​所得と​分けて​課税する​法律は、​すでに​成立しています。

「所得税法等の​一部を​改正する​法律」​(令和8年法律第12号)は、​2026年3月31日に​成立し、​公布されました。​参議院(この節の出典の一覧へ)の​議案情報では、​議決日も​公布年月日も​2026年3月31⁠日です。

この法律は、​金融商品取引業者登録簿に​登録されている​暗号資産などを​「特定暗号資産」とし、​取引業者に​売るか、​売却を​委託して行う​特定暗号資産の​譲渡を、​他の​所得と​分けて​課税する​()と​定めています。​所得税の​税額は、​課税される​金額の​15%です。​住民税は、​地方税法等の​一部を​改正する​法律​(令和8年法律第2号、​2026年3月31日公布)で、​道府県民税と​市町村民税を​合わせて​5%と​定められました。​閣議決定された​令和8年度税制改正の​大綱​(財務省(出典「令和8年度税制改正の大綱」を別のタブで開きます)が​掲載)も、​方針と​して、​所得税15%と​個人住民税5%の​合わせて​20%を​示していました。

損失が​出た​ときは、​一定の​要件のもとで、​翌年以後​3年間、​特定暗号資産の​譲渡所得等から​差し引ける​(繰越控除)と​定められました。​暗号資産取引業者は、​取引を​した​人の​氏名や​個人番号、​特定暗号資産の​名称などを​記した​報告書を、​取引の​あった​年の​翌年1月31日までに​税務署長へ​出します。​この報告書の​決まりは、​課税の​適用開始の​日の​属する​年の​翌年の​1月1日以後の​取引から​適用されます。

やさしく​言うと、​登録された​暗号資産を​取引業者に​売った​利益は、​ほかの​所得と​分けて、​所得税15%と​住民税5%​(合わせて​20%)で​課税する​法律が​できています。​所得税には、​このほかに、​所得税額を​もとに​計算する​復興特別所得税などが​併せて​かかります​(国税庁(出典「No.2260 所得税の税率」を別のタブで開きます)⁠)⁠。

要点

特定暗号資産の​譲渡に、​他の​所得と​分けて​課税する​法律は、​2026年3月31日に​成立・​公布され​ています。

適用が​始まる​時期を知る

新しい​課税の​開始日は、​金融商品取引法の​改正法が​施行される​日で​決まります​(2026年10月時点で​未施行⁠)⁠。

前の​節の​所得税の​課税は、​金融商品取引法の​改正法の​施行の​日の​属する​年の​翌年の​1月1日以後の​譲渡から​適用されます。​住民税の​定めは、​同じ施行の​日の​属する​年の​翌々年の​1月1日に​施行されます。​住民税は​前の​年の​所得に​かかる​ため、​施行は​1年あとですが、​対象に​なる​譲渡の​年は​所得税と​同じです​(この​教材の​補足)。​この改正法は​「金融商品取引法及び資金決済に​関する​法律の​一部を​改正する​法律」​(令和8年法律第64号)で、​2026年7月15日に​成立し、​2026年7月23日に​公布されました。

施行日は、​公布の​日から​起算して​1年を​超えない​範囲内で、で​定める​日です。​2026年10月時点では​未施行の​ため、​新しい​課税が​始まる​具体的な​日は、​施行日が​定まるまで​決まりません。​附則は、​適用を、​施行の​日の​属する​年の​翌年の​1月1日以後の​譲渡からと​定めています。​施行日は​公布の​日以後の​ため、​最も​早くても​2027年1月1日以後の​譲渡からとなり、​2026年中の​譲渡には​適用されません​(この​教材の補足⁠)⁠。

適用が始まるまでの取扱い

新しい​課税が​適用されるまでは、​これまで​見てきた​国税庁(出典「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」を別のタブで開きます)の​取扱い​(原則と​して​雑所得、​総合課税)が、​2026年10月時点で​国税庁が​公表している​取扱いです。

やさしく​言うと、​税制改正の​法律は​成立済みですが、​始まる​日は、​金融商品取引法の​改正法が​いつ​施行されるかで​決まります。

要点

所得税の​新しい​課税は、​金融商品取引法の​改正法の​施行日の​属する​年の​翌年1月1日以後の​譲渡から​適用されます。

確認問題

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困った​ときの​相談先を知る

個別の​取引の​税金は、​税務署や​税理士などに​相談できます。

このレッスンは、​国税庁(この節の出典の一覧へ)などが​公表している​制度の​一般的な​説明です。​取引の​内容に​よって​課税関係は​異なる​ため、​自分の​取引に​どう​当ては​まるかは、​お住まいの​地域の​税務署や、​税理士に​相談できます。

国税庁は、​国税に​関する​質問の​ために、​ホームページの​「チャットボット」と​「タックスアンサー」を​案内しています。​電話での​相談と​しては、​各国税局に​設置された​「電話相談​センター」が​案内されています​(2026年10月時点⁠)⁠。

な​お、​個人住民税などの​地方税に​関する​質問は、​電話相談​センターでは​答えられず、​お住まいの​市区町村や​道府県税事務所などに​問い合わせるよう、​国税庁の​ページに​書かれています。

申告の前に、その年分の案内を

国税庁の​情報は、​法令の​改正に​あわせて​改訂されます。​この教材は​2025年12月26日付の​国税庁の​情報にもと​づく​ため、​申告を​する​ときは、​国税庁の​ホームページで、​その年分の​案内を​確かめられます。

やさしく​言うと、​自分の​取引が​税金で​どう​扱われるかは、​国税庁の​窓口や​税理士に​聞けます。​この教材は、​暗号資産の​売買を​すすめる​ものでは​ありません。

要点

個別の​判断は、​国税庁の​相談窓口や​税務署、​税理士に​相談できます。

理解度チェック

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まとめ

このレッスンで​押さえたい​ことです。

  • 国税庁の​情報​(2025年12月1日時点の​法令等に​基づく)では、​暗号資産の​売却の​ほか、​商品の​購入への​使用や​他の​暗号資産との​交換でも、​利益が​生じれば​課税の​対象に​なり、​原則と​して​雑所得です。
  • 所得金額は、​譲渡価額から​譲渡原価などの​必要経費を​引いて​計算します。​雑所得の​損失は、​他の​所得と​通算できません。
  • 給与を​1か​所から​受ける​会社員などでも、​給与と​退職所得以外の​所得金額の​合計が​20万円を​超えると、​所得税の​確定申告が​必要に​なります。
  • 特定暗号資産の​譲渡に、​他の​所得と​分けて​課税する​法律は、​2026年3月31日に​成立・​公布され​ています。​適用は、​金融商品取引法の​改正法の​施行日の​属する​年の​翌年1月1日以後の​譲渡からです。
  • 個別の​判断は、​税務署や​税理士に​相談できます。

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出典と最終確認日

このレッスンの​事実は 2026年10月11日 に​確認しました。

ご利用にあたって

この教材は​一般的な​情報を​伝える​ための​もので、​特定の​商品の​売買や​投資を​勧める​ものでは​ありません。​税や​法律など​個別の​判断は、​金融庁や​国税庁などの​公的な​情報を​確かめたうえで、​専門家に​ご相談ください。