チャートの​形の​呼び名を知る

  • レベル やさしい
  • 読む時間 約9分
  • 最終確認日 2026年10月12日
  • 投資を勧めるものではありません

このレッスンで分かること

  • ダブルトップ・​ダブルボトム、​三尊・逆三尊が、​どんな​形の​呼び名かを​説明できる
  • 形の​見え方が​人に​よって​違い、​あとから​見て​分かる​ことが​多い​点を理解する
  • 形の​あとの​収益率を​調べた​研究は​あるが、​その研究は​利益が​出るかを​調べていない​ことを理解する

先に読むとよいレッスン:ローソク​足の読み方、時間の​幅で​チャートの​見え方が変わる、トレンドと​移動平均線を知る、支持線と​抵抗線を知る

例の​数字は、​ことわりの​ない​限り、​説明の​ために​作った​ものです。​実際の​値動きや、​実在の​商品の​数字では​ありません。

目次

チャートの​形に​付いた呼び名

値動きの​並びの​形に、​呼び名が​付けられ​ています。

点線の​下線が​ある語は、​押すと​意味が出ます。

日本​テクニカルアナリスト​協会(出典「は行 | テクニカル分析用語集 | はじめてのテクニカル分析 | マネックス証券」を別のタブで開きます)の​用語集​(証券会社の​サイトに​転載)は、を、​価格推移の​類型様式の​こととし、​パターンとも​いうと​説明しています。​日本では​古くは​「形式」と​いい、​いまは​英語を​使うことが​多いとも​述べています。

同じ用語集は、​フォーメーションを、​前後で​値動きの​向きが​反転する​ものと、​同じ向きが​続く​ものに​分けています。​前者には​ヘッド・アンド・ショルダーズなどが、​後者には​三角保合い​(値動きの​幅が​だんだん​狭くなる​形の​呼び名)などが​あると​されますが、​例外も​あると​しています。

このレッスンでは、​反転すると​される​形の​うち、​ダブルトップ・​ダブルボトムと、​三尊・逆三尊を​見ます。​Journal of Finance(出典「Foundations of Technical Analysis: Computational Algorithms, Statistical Inference, and Empirical Implementation」を別のタブで開きます) に​2000年に​載った​論文も、​この二組を、​伝統的な​テクニカル分析で​最も​人気の​ある形の​中に​数えています。

フォーメーションの​二つの​分け方​(日本​テクニカルアナリスト​協会の用語集⁠)

分け方意味例
反転するもの前後で​値動きの​向きが反転するヘッド・アンド・ショルダ⁠ー⁠ズなど
続くもの同じ向きが続く三角保合いなど

やさしく​言うと、​チャートの​山や​谷の​並びに​「M」​「W」​「三つの​山」のような​名前を​付けた​ものが、​フォーメーションです。

要点

フォーメーション​(パターン)は、​価格推移の​形の​呼び名です。​反転すると​される​形と、​同じ向きが​続くと​される​形に​分けられます。

ダブルトップと​ダブルボトム

山が​二つ、​または​谷が​二つ​並んだ形の​呼び名です。

証券会社の​解説(この節の出典の一覧へ)では、は、​株価が​大きく​上昇した​あとに​いったん下落し、​再び前回の​高値近くまで​上昇してから​下落に​転じた​形で、​アルファベットの​「M」のように​見えると​説明され​ています。は​逆に、​大きく​下落した​あとに​いったん上昇し、​前回の​安値近くまで​再び下落してから​上昇に​転じた​形で、​「W」のように​見えます。​別の​証券会社の​用語集(この節の出典の一覧へ)は、​ダブルボトムを​「二点底」とも​呼び、​二重天井​(ダブルトップ)の​対照的な​パターンで、​下げ相場の​安値圏で​形成されると​説明しています。

二つの​形の​見え方​(証券会社の解説⁠)

形見え方現れると​される場所
ダブルトップ山が​二つ、​「⁠M⁠」⁠の形上昇のあと
ダブルボトム谷が​二つ、​「⁠W⁠」⁠の形下落のあと
例の図。左はダブルトップで、1,100円の山が2つ並び、間の谷は1,050円。Mに似た形。右はダブルボトムで、1,000円の谷が2つ並び、間の山は1,050円。Wに似た形。どちらも1,050円の高さに水平な破線(ネックライン)がある。図は、ネックラインに届いた所で終わっている。
図:例の​数値で​描いた​ダブルトップ(左)と​ダブルボトム​(右)。​破線は​ネックライン。​形の​見え方は​人に​よって​違います。

ダブルトップでは、​二つの​山の​間の​安値の​位置に​引く​線をと​呼び、​これを​超えて​初めて​形が​完成したと​判断する、と​証券会社の​解説は​説明しています。​日本​テクニカルアナリスト​協会(出典「な行 | テクニカル分析用語集 | はじめてのテクニカル分析 | マネックス証券」を別のタブで開きます)の​用語集は、​ヘッド・アンド・ショルダーズでは​二つの​谷​(または​二つの​頂)を​結んだ線を​ネックラインと​呼び、​これを​またいだ時点で​フォーメーションは​完成されると​しています。

やさしく​言うと、​同じくらいの​高さで​二度止まった​形が、​ダブルトップと​ダブルボトムです。

要点

ダブルトップは​「M」、​ダブルボトムは​「W」の​形の​呼び名です。​ネックラインを​超えて​初めて​完成すると​説明され​ています。

三尊と​逆三尊と​いう呼び名

山が​三つ​並び、​真ん中が​最も​高い形が​三尊です。

証券会社の​用語集(この節の出典の一覧へ)は、​ヘッドアンド・ショルダーズ・トップ(別名は​三尊型)を、​典型的な​天井の​形を​示すチャートパターンの​ひとつと​説明しています。​別の​用語集は、​上昇相場で​上げ下げを​3回繰り返して​三つの​山を​つくり、​真ん中の​山が​最も​高い​形と​しています。​証券会社の​解説(この節の出典の一覧へ)も、​三つの​山と​二つの​谷で​できる​形で、​二つの​山に​挟まれた​真ん中の​山が​一番​高いと​説明しています。

この解説は、​両脇の​山が​肩、​真ん中の​山が​頭に​見える​ことから​ヘッドアンドショルダーズと​名付けられたと​述べています。​日本では、​釈迦の​左右に​菩薩が​並ぶ三尊像に​似ている​ため、とも​呼ぶと​説明しています。​谷が​三つで​真ん中が​最も​深い逆の​形は、​ヘッドアンドショルダーズボトム、​または​逆三尊と​呼ばれます。

日本​テクニカルアナリスト​協会(出典「さ行 | テクニカル分析用語集 | はじめてのテクニカル分析 | マネックス証券」を別のタブで開きます)の​用語集は、​日本の​三尊天井は​肩、​腰、​肩、​腰、​肩で​構成されるのに​対し、​海外の​ものは​期間も​形も​かなり​寛容だと​しています。​同じ名前でも、​どこまでを​その形と​呼ぶかは​一様ではないことに​なります。

やさしく​言うと、​三つの​山の​真ん中が​一番​高い形が​三尊、​谷が​三つで​真ん中が​一番​深い形が​逆三尊です。

要点

三尊は、​三つの​山の​真ん中が​最も​高い形の​呼び名です。​逆三尊は​谷が​三つの​逆の​形で、​どこまでを​三尊と​呼ぶかは​一様では​ありません。

確認問題

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形の​見え方は​人に​よって違う

同じチャートでも、​形を​見つけるか​どうかは​人に​よって​分かれます。

金融学の​学術誌​(Journal of Finance(出典「Foundations of Technical Analysis: Computational Algorithms, Statistical Inference, and Empirical Implementation」を別のタブで開きます))に​2000年に​載った​論文は、​テクニカル分析の​大きな​障害の​一つとして、​その主観的な​性質を​挙げています。​論文の​要旨は、​価格チャートに​現れる​幾何学的な​形は、​しばしば​見る​人の​目の​中に​あると​述べています。

そこで​論文は、​形を​数式で​定義し、​コンピューターで​自動的に​見つける​方法を​とりました。​たとえば​ダブルトップは、​二つの​山の​高さの​ずれの​許容範囲と、​山どうしの​間隔を​決めて​定義され​ています。​目で​見て​判断すると​人に​よって​結果が​変わる​ため、​決めごとを​置いた、と​いう​進め方です。

例1:三尊に​見える途中の形

ある株式の​高値が、​1,100円、​1,150円、​1,105円と​並びました。​間の​谷は、​どちらも​1,060円でした。

  1. 山が​三つ​並び、​真ん中が​最も​高いので、​形だけを​見ると​三尊天井に​似ています。
  2. 日本​テクニカルアナリスト​協会(出典「な行 | テクニカル分析用語集 | はじめてのテクニカル分析 | マネックス証券」を別のタブで開きます)の​用語集では、​谷を​結んだ​ネックラインを​またいだ時点で​形が​完成します。
  3. 続く​日の​終値は​1,070円に​戻り、​ネックラインを​またが​ないまま、​横ばいの​動きが​続きました。

途中の​段階では、​形に​なるのかどうかは​分かりません。​あとから​見て​初めて、​三尊だったか​どうかが​言えます。

例1の図。高値が1,100円、1,150円、1,105円と3つ並び、真ん中が最も高い。間の谷はどちらも1,060円で、2つの谷を結んだ水平な破線がネックライン。そのあとの終値は1,070円で、ネックラインより上のまま横ばいになっている。
図:例1を​線に​した​もの。​終値が​ネックライン​(破線)を​またいでいないので、​形は​完成し​ていません。

やさしく​言うと、​形は​あとから​見ると​分かりやすく、​途中では​人に​よって​見え方が​分かれます。

要点

形の​見え方は​人に​よって​違い、​完成が​分かるのは​あとからです。​研究者も、​形の​判定を​数式で​決めてから​調べました。

研究では​どう​報告されているか

このレッスンで​取り上げる​形の​研究は​1つで、​その研究は、​利益が​出るかを​調べていません。

Journal of Finance(出典「Foundations of Technical Analysis: Computational Algorithms, Statistical Inference, and Empirical Implementation」を別のタブで開きます) の​論文は、​1962年から​1996年の​アメリカの​株式を​対象に、​ヘッドアンドショルダーズや​ダブルトップ・​ダブルボトムなど​10種類の​形が​現れた​あとの​収益率​(値上がり・値下がりの​割合)の​分布を、​形を​条件に​しない​全体の​分布と​比べました。​論文は、​いく​つかの​形では​分布に​違いが​あり、​実務上の​価値が​ある可能性が​あると​述べています。​一方で、​これは​利益の​出る​取引が​できる​ことを​必ずしも​意味しないとも​述べ、​利益の​有無は​調べていません。

イリノイ大学(出典「The Profitability of Technical Trading Rules in US Futures Markets: A Data Snooping Free Test」を別のタブで開きます)の​研究者らが​2004年に​学会で​発表した​論文​(査読誌ではなく、​学会の​発表論文)は、​移動平均、​価格の​幅を​使う​もの、​モメンタム​(​値動きの​勢い)を​使う​オシレーター、​フィルターなどの​売買ルールを、​アメリカの​先物​(将来の​決めた​日に​売買する​約束の​取引)で​調べています。​この研究が​調べたのは​売買ルールで、​チャートの​形その​ものでは​ありません。​1978年から​1984年に​利益が​出た​ルールも、​1985年から​2002年の​新しい​データでは、​多くの​先物で​利益が​大きく​下がったと​報告しています。

二つの研究は、調べた対象が違います

このレッスンで​取り上げた​形の​研究は​1つで、​形の​あとの​収益率の​分布に​違いが​あったと​報告し​ていますが、​利益が​出るか​どうかは​調べていません。​売買ルール​全般では、​利益が​後の​期間に​続かなかった​報告が​あります。​どちらも​過去の​アメリカの​デー⁠タです。

やさしく​言うと、​「形の​あとの​収益率に​違いが​あった」と​いう​報告は​ありますが、​形を​使って​利益が​出るとは、​このレッスンで​読んだ​研究からは​言えません。

要点

形の​あとの​収益率に​違いが​あったと​いう​報告が​あり、​その研究は、​利益が​出るかを​調べていません。​売買ルール​全般では、​利益が​後の​期間に​続かなかった​報告が​あります。

この見方の​位置づけを知る

形の​呼び名は、​値動きを​言葉に​する​ための​道具の​一つです。

日本​テクニカルアナリスト​協会(この節の出典の一覧へ)の​用語集は、​反転する​形が​発生してから​終息するまでに、​数か​月程度かかる​ことが​多いと​述べています。​形が​できる​途中では、​まだ​完成していない​ことになり、​途中で​形が​崩れて​完成しない​場合も​あります。​同じ用語集は、​「だまし」は、​一般に​オシレーター​(次の​レッスンで​扱います)の​ほうが​多い​傾向が​あるとも​述べています。

証券会社の​解説(この節の出典の一覧へ)では、​テクニカル分析の​弱い​点と​して、​実際の​相場は​過去の​パターンと​必ずしも​合致しない​こと、​売買の​合図は​実際の​動きから​少し​遅れる​こと、​売買の​合図に​だましが​あること、​突発的な​大きな​出来事には​対応できない​ことが​挙げられ​ています。​資料には、​形が​完成した​あとの​値動きの​目標を​計算する​方法を​載せる​ものも​ありますが、​ここでは​示しません。​形を​売買の​合図と​して​すすめる​ものでは​ありません。

やさしく​言うと、​ダブルトップや​三尊は​「値動きに​付けた​名前」で、​これから​先を​教えてくれる​ものでは​ありません。

要点

チャートの​形の​名前は、​過去の​値動きに​付けた​呼び名です。​完成は​あとから​分かり、​だましも​あると​されています。

理解度チェック

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まとめ

このレッスンで​押さえたい​ことです。

  • フォーメーション​(パターン)は、​価格推移の​形の​呼び名で、​反転すると​される​形と​同じ向きが​続くと​される​形が​あります。
  • ダブルトップは​山が​二つの​「M」、​ダブルボトムは​谷が​二つの​「W」の​形で、​ネックラインを​超えて​完成すると​説明され​ています。
  • 三尊は、​三つの​山の​真ん中が​最も​高い形で、​逆の​形が​逆三尊です。​どこまでを​三尊と​呼ぶかは​一様では​ありません。
  • 形の​見え方は​人に​よって​違い、​完成が​分かるのは​あとからです。​形が​現れても、​そのあとの​動きが​同じに​なるとは​限りません。
  • 形の​あとの​収益率に​違いが​あったと​いう​報告が​あり、​その研究は、​利益が​出るかを​調べていません。​売買ルール​全般では、​利益が​後の​期間に​続かなかった​報告が​あります。

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出典と最終確認日

本文で​機関や​資料の​名前を​挙げている​説明は、​その出典に​よる​ものです。​名前を​挙げていない​説明は、​このサイトが​まとめた​ものです。

このレッスンの​事実は 2026年10月12日 に​確認しました。

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