証拠金と​レバレッジを知る

  • レベル ふつう
  • 読む時間 約9分
  • 最終確認日 2026年10月11日
  • 投資を勧めるものではありません

このレッスンで分かること

  • 証拠金と​レバレッジの​意味を​説明し、​取引額が​預けた​額の​何倍かを​計算できる
  • 株式の​信用取引で、​委託保証金と​追い​証が​どのような​場合に​必要に​なるかを、​架空の​例で​確かめられる
  • 個人の​暗号資産の​証拠金取引で​必要な​額と、​ロスカットや​預けた​額を​超える​損失の​説明を知る

先に読むとよいレッスン:成行注文と​指値注文のちがい

目次

証拠金と​レバレッジとは

預けた​お金より​大きな​取引を​する​仕組みが、​レバレッジです。

点線の​下線が​ある語は、​押すと​意味が出ます。

知る​ぽると​(金融広報中央委員会)(出典「1-3 デリバティブの特徴と利用法 ─ 1 デリバティブってなんだろう? ─ やさしいデリバティブ|知るぽると」を別のタブで開きます)は、​一般に、​デリバティブ取引​(株式や​暗号資産などの​値段を​もとに​した​取引。​この教材の​言い​換え)では、​取引当初にを​払い​込むだけで​取引が​できるなど、​取引時に​発生する​金額が、​原資産​(もとになる​資産。​この教材の​言い​換え)の​取引よりも​少額ですむと​説明しています。​このように​少ない​投資金額で​大きな​取引が​できる​ことを​「​効果」と​いい、​レバレッジとは​小さな​力で​大きな​ものを​動かす​「てこ」の​ことだと​しています。

この教材では、​取引の​大きさを​「取引額」、​預けた​証拠金に​対する​取引額の​倍数を​「レバレッジの​倍率」と​呼びます​(この​教材の​用語)。​たとえば、​10万円を​預けて​50万円分の​取引を​すると、​倍率は​5倍です。​数字は​架空です。

このレッスンで扱う範囲

扱うのは、​株式の​信用取引と、​暗号資産を​対象と​する​デリバティブ取引​(証拠金取引)です。​暗号資産の​「信用取引」は​扱いません。​例の​数字は​切りの​よい​架空の​もので、​手数料、​金利、​税は​考えません。

やさしく​言うと、​レバレッジは​「手元の​お金の​何倍もの​取引を​する」​仕組みです。​値動きの​影響も、​その倍率に​あわせて​大きくなります。

要点

レバレッジは、​預けた​額より​大きな​取引を​する​仕組みです。​倍率は、​取引額を​預けた​額で​割って​求められます。

信用取引は​資金や​株を​借りて行う

証券会社から​資金や​株を​借りて​売買するのが、​信用取引です。

日本取引所​グループ(出典「信用取引の目的・仕組み | 信用取引の概要 | 日本取引所グループ」を別のタブで開きます)は、​証券会社が​顧客に​買付資金や​売付株式を​貸し付ける​ことにより​行う​取引を、と​説明しています。​通常の​株式の​売買では、​買い方は​買付代金の​全額を、​売り方は​売付株式を​用意して行うと​しています。

2026年10月に​確認した​日本取引所​グループの​説明では、​信用取引は​証券会社から​資金や​株を​借りて行う​ため、​それに​見合う​担保を​預けます。​さらに、と​いう​保証金も​預けます。​委託保証金は、​買付代金、​売付代金の​30%以上と​定められ、​現金の​ほか​有価証券でも​代用できます。

返済に​ついては、​日本取引所​グループは、​返済期限が​6か​月以内の​「制度信用取引」と、​期限などを​証券会社と​顧客の​間で​合意して行う​「一般信用取引」が​あると​説明しています。​返済の​方法には、​反対売買で​決済する​「転売・​買戻し」と、​現物の​株式と​資金を​やり取りする​「現引き・現渡し」が​あります。

やさしく​言うと、​信用取引は、​担保と​保証金を​預けて、​証券会社から​資金や​株を​借りる​取引です。​借りた​ものは​返す必要が​あります。

要点

信用取引では、​委託保証金を​預けて​資金や​株を​借ります。​委託保証金は、​売買代金の​30%以上と​定められ​ています。

値動きの​影響が​大きくなる例

同じ値動きでも、​預けた​額に​対する​損益の​割合が​大きくなります。

架空の​例:同じ​30万円で、​現物と​信用を比べる

株価が​1,000円の​株式を、​Aさんは​現物で​300株​(30万円分)​買いました。​Bさんは​30万円を​委託保証金と​して​預け、​信用取引で​1,000株​(100万円分)を​買いました。​委託保証金は​売買代金の​30⁠%⁠です。

  1. 株価が​10%上がって​1,100円に​なると、​Aさんの​利益は​300株×100円=3万円、​Bさんの​利益は​1,000株×100円=10万円です。
  2. 株価が​10%下がって​900円に​なると、​Aさんの​損失は​3万円、​Bさんの​損失は​10万円です。

同じ10%の​値動きでも、​30万円に​対する​損益の​割合は、​Aさんが​10%、​Bさんが​約33%です。​Bさんの​取引額は​預けた​額の​約3.3倍なので、​影響も​約3.3倍に​なります​(この​教材の計算⁠)⁠。

架空の​例:株価の​変化と​損益⁠(⁠円⁠)

株価の変化Aさん⁠(⁠現物⁠)Bさん⁠(⁠信用⁠)
+10%​(1,1⁠0⁠0⁠円⁠)+⁠3⁠万+⁠1⁠0⁠万
−10%​(9⁠0⁠0⁠円⁠)−⁠3⁠万−⁠1⁠0⁠万
−20%​(8⁠0⁠0⁠円⁠)−⁠6⁠万−⁠2⁠0⁠万

20%下がった​とき、​Bさんの​損失20万円は、​預けた​30万円の​約67%に​あたります​(この​教材の計算⁠)⁠。

やさしく​言うと、​レバレッジは、​利益の​割合だけでなく​損失の​割合も、​同じ倍率で​大きくします。

要点

信用取引では、​同じ値動きでも、​預けた​額に​対する​損益の​割合が、​倍率の​分だけ​大きくなります。

確認問題

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追い証が​必要になる場合

損失が​増えて​保証金が​足りなくなると、​追加の​保証金を​求められます。

日本取引所​グループ(出典「信用取引の目的・仕組み | 信用取引の概要 | 日本取引所グループ」を別のタブで開きます)は、​株価の​変動に​よって、​当初の​委託保証金だけでは​カバーできない​ほど​損失が​拡大すると、​担保価値が​不十分に​なる​可能性が​あると​説明しています。​当初の​委託保証金から​損失や​費用を​差し引いた​金額が、​売買代金の​20%を​下回った​ときは、​追加の​保証金​()を​証券会社に​差し入れる​ことに​なると​しています。

架空の​例:追い証が​必要になる場合

前の​例の​Bさんの​取引です。​売買代金は​100万円、​当初の​委託保証金は​30万円で、​費用は​考えません。

  1. 売買代金100万円の​20%は、​20万円です。
  2. 株価が​1,000円から​850円に​下がると、​損失は​1,000株×150円=15万円です。
  3. 委託保証金30万円から​損失15万円を​引いた​金額は​15万円で、​20万円を​下回ります。

この例では、​追加の​保証金を​差し入れる​ことになります​(この​教材の​計算)。​実際の​計算方法や​期限は、​証券会社の​説明で​確かめられます。

やさしく​言うと、​追い証は​「預けた​保証金が、​損失で​目減りして​足りなくなった​ときの​追加分⁠」⁠です。

要点

委託保証金から​損失などを​引いた​金額が​売買代金の​20%を​下回ると、​追い証を​差し入れる​ことになります。

確認問題

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暗号資産の​証拠金に​定められた額

個人向けの​暗号資産の​デリバティブ​取引では、​預ける​証拠金の​下限が​定められ​ています。

金融商品取引業等に​関する​内閣府令(出典「金融商品取引業等に関する内閣府令」を別のタブで開きます)は、​暗号資産などを​対象と​する​デリバティブ​取引を​「暗号資産等関連​デリバティブ​取引」と​呼んでいます。​2026年10月時点で​施行されている​内閣府令では、​証券会社などの​金融商品取引業者等が、​個人の​顧客が​預けた​証拠金などの​額が​必要な​額に​足りないのに、​不足額を​預けさせずに​契約を​続ける​ことが、​禁止される​行為と​して​定められ​ています。

契約を​結ぶ​ときに​必要な​額​(約定時必要預託額)は、​取引額に​100分の​50を​乗じた​額と​定められ​ています。​取引額は、​原則と​して​暗号資産の​価格に​取引の​数量を​乗じた​額です。​契約する​とき取引額の​50%を​預けると、​取引額は​預けた​額の​2倍です​(この​教材の計算⁠)⁠。

契約を​結んだ​あとも、​営業日ごとの​一定の​時刻に、​預けた​額に​損益を​加減した​額​(実預託額)が、​取引額の​50%の​額​(維持必要預託額)に​足りない​場合は、​速やかに​不足額を​預けさせる​ことが​求められます。​足りないまま​契約を​続ける​ことも、​禁止される​行為です。

個人の​顧客の​必要な​額​(内閣府令の​規定と、​この教材の計算⁠)

項目必要な額
契約する​ときに必要な額取引額の⁠5⁠0⁠%
契約を​続ける​ために必要な額取引額の⁠5⁠0⁠%
契約する​ときの​取引額と預けた額取引額は、​預けた​額​(ほかの​取引の​損益を​加減した​額)の⁠2⁠倍まで

やさしく​言うと、​個人の​顧客が​暗号資産の​証拠金取引を​始めるには、​取引額の​半分以上を​預ける​必要が​あり、​その後も​不足すれば​追加で​預ける​ことになります。

要点

個人の​顧客の​暗号資産等関連​デリバティブ​取引では、​取引額の​50%以上の​証拠金などが​必要です。​契約する​とき、​取引額は、​預けた​額​(ほかの​取引の​損益を​加減した​額)の​2倍までです​(この​教材の計算⁠)⁠。

損失が​預けた​額を​超えることも

預けた​額より​大きな​損失に​なる​場合が​あり、​事前の​説明が​求められ​ています。

架空の​例:10万円で​20万円分を買う

個人の​顧客が​証拠金10万円を​預け、​20万円分の​暗号資産を​証拠金取引で​買いました。​営業日ごとの​決まった​時刻に、​価格が​10%下がった​状態だったとします。​手数料は​考えません。

  1. 価格が​10%下がると、​損失は​2万円です。
  2. 預けた​10万円から​2万円を​引いた​実預託額は​8万円で、​取引額の​50%に​届きません。

内閣府令は、​営業日ごとの​一定の​時刻に​実預託額が​維持必要預託額に​足りない​場合に、​不足額を​預けさせずに​契約を​続ける​ことを、​禁止される​行為と​しています。​この例の​実預託額8万円は、​取引額の​50%に​届かず、​不足に​あたります​(この​教材の計算⁠)⁠。

金融商品取引業等に​関する​内閣府令(出典「金融商品取引業等に関する内閣府令」を別のタブで開きます)は、​顧客の​損失が、​あらかじめ約した​計算方法で​算出される​額に​達する​場合に​行う​決済を、と​呼んでいます。​個人の​顧客に​ついて、​ロスカット取引を​行う​管理体制が​ない​状況や、​ロスカット取引を​行っていないと​認められる​状況を、​投資者の​保護に​支障を​生ずる​おそれの​ある状況と​して​挙げています。

日本暗号資産等取引業協会​(JVCEA)(出典「暗号資産等関連デリバティブ取引業に係る顧客の管理及び説明に関する規則」を別のタブで開きます)は、​会員が​取引の​開始前に​顧客へ​説明する​事項と​して、​ロスカット取引が​強制的に​執行された​場合にも、​顧客が​預けた​資産の​額を​上回る​損失が​発生する​ことがある​場合は​その旨を​挙げています。​また、​投資額を​上回る​損失が​生じる​おそれが​ある場合は、​その旨と、​損失を​生じさせる​主な​要因と​その理由を​挙げています。

レバレッジは、損失にも同じように働きます

預けた​額より​大きな​取引を​する​ため、​損失も​大きくなります。​ロスカットが​行われても、​価格の​動き方に​よっては、​預けた​額を​上回る​損失に​なることが​あります。

要点

暗号資産の​証拠金取引では、​ロスカットが​行われても、​預けた​額を​上回る​損失に​なることが​あり、​その旨が​事前に​説明される​事項です。

理解度チェック

問題を​読み込んでいます。​表示されない​ときは JavaScript を​有効に​してください。

まとめ

このレッスンで​押さえたい​ことです。

  • レバレッジは、​預けた​証拠金より​大きな​取引を​する​仕組みで、​倍率は​取引額を​預けた​額で​割って​求められます。
  • 株式の​信用取引では、​委託保証金が​売買代金の​30%以上と​定められ、​損失で​20%を​下回ると​追い証を​差し入れる​ことになります。
  • 同じ値動きでも、​レバレッジを​かけると、​預けた​額に​対する​損益の​割合が​倍率の​分だけ​大きくなります。
  • 個人の​顧客の​暗号資産等関連​デリバティブ​取引では、​取引額の​50%以上の​証拠金などが​必要で、​契約時の​取引額は​預けた​額の​2倍までです。
  • ロスカットが​行われても、​預けた​額を​上回る​損失に​なることが​あり、​その旨は​事前に​説明される​事項です。

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出典と最終確認日

このレッスンの​事実は 2026年10月11日 に​確認しました。

ご利用にあたって

この教材は​一般的な​情報を​伝える​ための​もので、​特定の​商品の​売買や​投資を​勧める​ものでは​ありません。​税や​法律など​個別の​判断は、​金融庁や​国税庁などの​公的な​情報を​確かめたうえで、​専門家に​ご相談ください。