約定から​受渡しまでを知る

  • レベル ふつう
  • 読む時間 約9分
  • 最終確認日 2026年10月11日
  • 投資を勧めるものではありません

このレッスンで分かること

  • 約定と​決済の​違いを​説明し、​株式の​普通取引の​受渡日を、​架空の​例で​数えられる
  • 清算機関が​売買の​間に​入る​理由と、​DVP決済の​考え方を​説明できる
  • ビットコインの​承認と​株式の​決済の​違いを、​決済の​時期と​確かさを​支える​ものから知る

先に読むとよいレッスン:成行注文と​指値注文のちがい、ブロックチェーンの​仕組みを知る、暗号資産の​送金と​手数料を知る

目次

約定と​決済の​違いを知る

売買が​成立するのが​約定で、​証券と​代金が​実際に​動くのは、​そのあとの​決済です。

点線の​下線が​ある語は、​押すと​意味が出ます。

日本取引所​グループ(出典「売買成立の方法 | 内国株の売買制度 | 日本取引所グループ」を別のタブで開きます)は、​取引所の​市場の​売買を、​価格優先と​時間優先の​原則で​行う​競争売買と​説明しています。​最も​優先する​売り注文と​買い​注文が、​ある値段で​合致した​ときに、​その値段を​約定値段と​して​売買契約を​締結させる​方法です。は、​このように​売買が​成立する​ことです。

日本証券​クリアリング機構​(JSCC)(この節の出典の一覧へ)は、​有価証券の​売買が​成立すると、​売る​側には​証券を​引き渡す義務と​代金を​受け取る​権利が、​買う​側には​代金を​支払う​義務と​証券を​受け取る​権利が​発生すると​説明しています​(JSCCの​用語では、​引渡債務・受領債権などと​呼びます)。​この引渡しや​支払いを​実際に​行う​ことを、​この教材ではと​呼びます​(この​教材の​言い換え⁠)⁠。

JSCCは、​売買が​成立してから​決済が​行われるまでの​流れを、​売買​(取引所等)、​清算​(清算機関)、​決済​(決済機関)の​三段階に​区分できると​しています。​清算機関は​売買と​決済の​間に​位置し、​取引所等で​成立した​取引の​債務を​引き受けたうえで、​決済機関に​決済の​指示を​出すと​説明しています。

やさしく​言うと、​約定は​「売買の​約束が​決まった​こと」で、​株式と​代金が​実際に​動くのは、​あとの​決済の日です。

要点

約定は​売買の​成立で、​決済は​証券と​代金の​受け渡しです。​成立から​決済までは、​売買、​清算、​決済の​三段階に​分けられます。

普通取引の​受渡日を知る

株式の​普通取引は、​売買契約の​日から​数えて​3日目に​決済されます。

日本取引所​グループ(この節の出典の一覧へ)は、​内国株​(日本の​会社の​株式。​この教材の​言い​換え)の​売買の​種類に、​普通取引、​当日決済取引、​発行日決済取引の​3つが​あると​説明しています。​このうち普通取引が​基本的な​売買の​形態で、​売買契約締結の​日から​起算して​3日目​(休業日を​除く)の​日に​決済を​行う​売買だと​しています。

JSCC(出典「金融商品債務引受業 | 株式会社日本証券クリアリング機構」を別のタブで開きます)の​説明の​例では、​4月1日​(月)に​証券会社Aが​証券会社Bに​甲社株1,000株を​1株100円で​売り、​3日​(水)の​決済日に、​Aが​株を​引き渡し、​Bが​10万円を​支払います。​月曜日の​約定が、​水曜日の​決済に​なる例です。​休業日は、​土曜日、​日曜日、​国民の​祝日及び休日などで、​取引は​行われません。

架空の​例:木曜日と​金曜日に​約定した場合

これは​架空の​例です。​祝日などの​休業日が​ない​週で、​普通取引の​受渡日を​数えます。​土曜日と​日曜日は​休業日なので、​数えません。

  1. 木曜日に​約定すると、​木曜日が​1日目、​金曜日が​2日目、​翌週の​月曜日が​3日目です。​受渡日は​月曜日に​なります。
  2. 金曜日に​約定すると、​金曜日が​1日目、​翌週の​月曜日が​2日目、​火曜日が​3日目です。​受渡日は​火曜日に​なります。

週末を​またぐと、​受渡日までの​カレンダー上の​日数は​長くなります​(この​教材の計算⁠)⁠。

やさしく​言うと、​受渡日は​「約定の​日を​1日目として、​お休みの​日を​除いて​数えた​3日目⁠」⁠です。

要点

普通取引は、​売買契約の​日から​起算して​3日目​(休業日を​除く)に​決済されます。

確認問題

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T+2と​いう​書き方を知る

約定日を​基準に、​決済日を​「T+何」で​表す​書き方が​あります。

日本取引所​グループ(出典「用語集 | 日本取引所グループ」を別のタブで開きます)の​用語集は、​Tは Trade date、​つまり​証券の​売買が​成立した​日​(約定日)を​指し、​「T+1」は​約定日の​翌日が​決済日である​ことを​指すと​説明しています。​2026年10月11日に​確認した​同じ用語集は、​日本の​株式の​普通取引は、​T+2​(約定日の​2日後)に​決済されると​書いています。

「T+何」の​書き方​(日本取引所​グループと​金融庁の​説明を​もとに​した整理⁠)

書き方決済日
T+1約定日の​翌営業日​(この​教材の補足⁠)
T+2約定日の​2営業日後​(株式の​普通取引⁠)

金融庁(この節の出典の一覧へ)が​公表した​勉強会の​中間整理​(概要)は、​日本の​株式は、​約定日​(T日)の​2営業日後​(T+2日)に​決済が​行われていると​書いています。​休業日を​除いて​数えると​いう​ことです。​前の​節の​「起算して​3日目」と​「2営業日後」は、​約定日を​1日目と​数えるか、​基準の​日と​するかの​違いで、​同じ日を​指しています​(この​教材の補足⁠)⁠。

金融庁に​よると、​金融審議会の​市場制度​ワーキング・グループの​報告書​(2024年7月2日)は、​国際的に​T+1化の​実施・検討が​進む中、​市場関係者が​実務的な​検討を​始める​ことが​必要だと​しました。​これを​受けて​「T+1化に​関する​勉強会」が​設けられ、​2025年7月15日に、​議論の​中間整理が​公表されました。

中間整理の​概要は、​T+1化の​メリットや、​T+1化しない​場合の​デメリットが​どの程度​あるか、​費用負担や​夜間対応などの​コストを​市場関係者が​負担できるかと​いった​点から、​引き続き状況を​フォローしつつ、​検討を​継続していく​必要が​あると​しています。​参考と​して、​T+2に​移行した​際には、​検討開始から​移行まで​約5年を​要したと​書かれています。

要点

2026年10月時点で、​日本の​株式の​普通取引は​T+2​(約定日の​2営業日後)で、​T+1化は、​金融庁や​関係機関の​勉強会で​検討され​ています。

清算機関が​間に​入る​理由を知る

売買の​当事者の​間に​清算機関が​入り、​相手が​約束を​果たせない​おそれを​減らします。

JSCC(この節の出典の一覧へ)は、​清算機関を、​売買の​相手側に​代わって​証券の​受渡しと​資金の​受払いに​ついて​債務の​引受けを​行い、​決済の​履行を​保証する​主体と​説明しています。​株や​債券などの​売買に​基づく​債務を​引き受ける​業務は​「金融商品債務引受業」で、​内閣総理大臣の​免許を​受けた​株式会社でなければ​営めないと​しています。

清算機関が​なく、​個々の​相手と​直接決済すると、​相手が​破綻した​ときに​代金を​取りは​ぐれる​危険が​あります。​JSCCは、​売り手が​証券を​引き渡したのに、​買い手の​破綻で​代金が​支払われない​場合を​例に、​個々の​取引相手が​約束を​果たせない​おそれ​(JSCCは、​これを​信用リスクと​呼んでいます)を​負うことに​なると​説明しています。

信用力の​高い​一つの​機関が、​売り手と​買い手の​双方からを​行えば、​個々の​当事者は、​もとの​取引相手の​信用リスクを​意識せずに​取引できると​しています。​売付数量と​買付数量の​差額だけを​決済するで、​決済の​数量を​小さく​でき、​資金や​証券を​効率よく​使えるとも​説明しています。

やさしく​言うと、​清算機関は​「売り手と​買い手の​間に​立って、​受け渡しを​請け負う​機関」です。​JSCCの​説明の​例に​出てくるのは、​証券会社どうしの​取引です​(この​教材の補足⁠)⁠。

要点

清算機関は、​売買の​相手側に​代わって​債務を​引き受け、​決済を​保証します。​取引相手の​信用リスクを​意識せずに​取引できる​仕組みです。

確認問題

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DVP決済の​仕組みを知る

証券の​引渡しと​代金の​支払いを​結びつけ、​片方だけが​動く​ことを​防ぎます。

JSCC(この節の出典の一覧へ)は、​(Delivery Versus Payment)を、​証券と​資金の​授受を​リンクさせ、​代金の​支払いが​行われる​ことを​条件に​証券の​引渡しを​行い、​逆に​証券の​引渡しが​行われる​ことを​条件に​代金の​支払いを​行う​方法と​説明しています。​決済不履行が​生じても、​取りは​ぐれが​生じない​決済方法だと​しています。

JSCCは、​自社と​清算参加者​(JSCCが​債務を​引き受ける​相手方)との​決済を、​DVP決済で​行うと​説明しています。​対象は、​各取引所などで​成立した​現物取引​(株式などを​実際に​受け渡す売買。​この教材の​言い​換え)の​うち、​普通取引などです。​JSCCの​呼び名で、​当日取引と​発行日取引は​対象外です。

架空の​例:片方だけが​動く​場合と、​結びつける場合

これは​架空の​例です。​A証券が​B証券に、​甲社株1,000株を​1株100円、​代金10万円で​売りました。​決済日に、​Bが​破綻したとします。

  1. 証券の​引渡しと​代金の​支払いが​結びついていなければ、​Aが​株を​引き渡したのに、​10万円を​取りは​ぐれる​ことがあります。
  2. DVP決済では、​代金の​支払いが​行われる​ことが、​証券の​引渡しの​条件に​なります。​逆に、​証券の​引渡しが、​代金の​支払いの​条件にも​なります。

どちらか​一方だけが​先に​動いて​取りは​ぐれる​ことを、​避けられる​決済方法です​(JSCCの​説明を​もとに​した整理⁠)⁠。

やさしく​言うと、​DVP決済は​「お金を​払ったのに​株が​来ない」​「株を​渡したのに​お金が​来ない」を​防ぐ​決まりです。

要点

DVP決済は、​証券の​引渡しと​代金の​支払いを​結びつける​決済で、​取りは​ぐれが​生じないとされ​ています。

ビットコインの​承認を比べる

ビットコインの​送付は、​決まった​受渡日ではなく​承認の​積み重なりで​確かに​なり、​承認された​取引は​取り消せません。

ビットコインの​送付で​承認が​積み重なる​仕組みと​待ち時間は、​レッスン​「暗号資産の​送金と​手数料を​知る」で​詳しく​扱いました。​ここでは、​株式の​決済と​比べた​違いだけを見ます。

bitcoin.org(出典「FAQ - Bitcoin」を別のタブで開きます) の​FAQ​(英語)は、​ビットコインの​取引は​承認​(原文は confirmation)​されると​取り消せず、​返金できるのは​受け取った​側だけだと​説明しています。​取引が​ブロックに​含まれた​あと、​後に​続く​ブロックが​積み重なる​ほど、​取引が​覆される​リスクは​減っていく​とも​書いています。​どの時点で​十分に​承認されたとみなすかは、​利用者が​決められると​しています。

株式の​普通取引と​ビットコインの​送付​(JSCCと​bitcoin.orgの​説明を​もとに​した整理⁠)

比べる点株式の普通取引ビットコインの送付
決済の時期約定日から​数えた受渡日承認が​積み重なる​ほど​確かになる
確かさを​支えるもの清算機関の債務引受ネットワー⁠クの合意

ビットコインについての説明です

ここで​見たのは、​ビットコインに​ついての​説明です。​ほかの​暗号資産に、​そのまま​当ては​まるとは​限りません。​取引所などの​口座の​中での​売買の​決済は、​このレッスンでは​扱いません。

やさしく​言うと、​株式の​普通取引は​「決まった​受渡日」に​決済されますが、​ビットコインの​送付は​「ブロックが​積み重なるに​つれて​確かさが​増す」形で​進み、​承認された​取引は​取り消せません​(この​教材の​比べ方⁠)⁠。

要点

ビットコインの​取引は、​承認されると​取り消せません。​株式の​普通取引の​受渡日とは、​決済の​考え方が​異なります。

理解度チェック

問題を​読み込んでいます。​表示されない​ときは JavaScript を​有効に​してください。

まとめ

このレッスンで​押さえたい​ことです。

  • 約定は​売買が​成立する​ことで、​決済は​証券と​代金を​実際に​受け渡す​ことです。
  • 株式の​普通取引は、​売買契約の​日から​起算して​3日目​(休業日を​除く)に​決済され、​「T+2」とも​書かれます。
  • 清算機関は、​売買の​相手側に​代わって​債務を​引き受け、​決済を​保証して、​取引相手の​信用リスクを​減らします。
  • DVP決済は、​証券の​引渡しと​代金の​支払いを​結びつけて、​片方だけが​動く​ことを​防ぎます。
  • ビットコインの​取引は、​承認されると​取り消せません。​株式の​普通取引の​受渡日とは、​決済の​考え方が​異なります。

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出典と最終確認日

このレッスンの​事実は 2026年10月11日 に​確認しました。

ご利用にあたって

この教材は​一般的な​情報を​伝える​ための​もので、​特定の​商品の​売買や​投資を​勧める​ものでは​ありません。​税や​法律など​個別の​判断は、​金融庁や​国税庁などの​公的な​情報を​確かめたうえで、​専門家に​ご相談ください。