ウォレットと秘密鍵

  • レベル やさしい
  • 読む時間 約10分
  • 最終確認日 2026年10月11日
  • 投資を勧めるものではありません

このレッスンで分かること

  • ウォレットが​管理しているのは、​暗号資産​そのものではなく​鍵である​ことを​説明できる
  • 秘密鍵や​リカバリーフレーズを​失う、​または​知られると​何が​起こりうるかを知る
  • 預ける​場合と​自分で​管理する​場合の​責任と​リスク、​鍵を​ねらう​詐欺の​型、​相談先を知る

先に読むとよいレッスン:暗号資産とは何か、ブロックチェーンの​仕組みを知る

目次

ウォレットが​管理しているもの

ウォレットは​「財布」と​訳されますが、​管理しているのは​暗号資産​そのものではなく、⁠鍵です。

点線の​下線が​ある語は、​押すと​意味が出ます。

は、​直訳すると​財布です。​しかし、​bitcoin.org(この節の出典の一覧へ) の​FAQは、​ビットコインは​パソコンや​スマホの​ソフトに​受け取られるのではなく、​ネットワークで​共有される​公開の​台帳に​書き加えられると​説明しています。​ウォレットが​必要に​なるのは、​使う​ときだけだとも​書かれています。

bitcoin.org の​用語集は、​ウォレットが​実際にもっているのは、​台帳の​上で、​そのウォレットに​割り当てられた​ビットコインを​使えるように​するだと​説明しています。​ウォレットは、​残高を​表示したり、​支払ったりする​道具です。

ethereum.org(出典「Ethereum wallets: Buy, Store and Send crypto | ethereum.org」を別のタブで開きます) は、​イーサリアムの​アカウントは​一組の​鍵だと​説明しています。​この教材では、​アカウントを​口座に​あたる​ものと​考えます。​一方の​鍵からは、​自由に​伝えて​よいが​作られ、​もう​一方は、に​使う​ため秘密に​保ちます。​署名とは、​持ち主である​ことを​証明する​ための​数学的な​仕組みです​(bitcoin.org の​用語集に​よる)。​暗号資産に​よって​細部は​異なります。

やさしく​言うと、​ウォレットは​「暗号資産を​入れる​袋」ではなく、​「台帳に​ある自分の​分を​動かすための​鍵束⁠」⁠です。

要点

ウォレットが​管理しているのは、​台帳に​ある自分の​分を​動かすための鍵です。

秘密鍵のは​たらきと​リカバリー⁠フレ⁠ー⁠ズ

秘密鍵は、​自分に​使う​権利が​あることを、​署名で​示すための​秘密の​デー⁠タです。

bitcoin.org(この節の出典の一覧へ) の​用語集は、​秘密鍵を、​特定の​ウォレットから​ビットコインを​使う​権利を、​署名に​よって​示す秘密の​データだと​説明しています。​「How does Bitcoin work?」は、​秘密鍵で​取引に​署名すると、​その取引が​ウォレットの​持ち主から​出たと​いう​数学的な​証明に​なり、​取引が​後から​変えられる​ことも​防がれると​述べています。

秘密鍵は、​ソフトウェアや​専用の​機器​(ハードウェアウォレット)に​保存できる​ほか、と​して​控える​こともできます。​リカバリーフレーズは、​シードフレーズとも​呼ばれる​単語の​並びで、​ウォレット全体を​復元できる​ものです。​bitcoin.org の​用語集に​よると、​リカバリーフレーズが​あれば、​一つ​ずつ鍵を​写さなくても、​ウォレットの​秘密鍵を​まとめて​作り直せます。​用語集は、​秘密鍵は​決して​明かしてはならず、​リカバリーフレーズも、​手に​入れた​人は​対応する​ビットコインを​使える​ため、​安全に​保管する​必要が​あると​述べています。

やさしく​言うと、​秘密鍵は、​その分を​動かすための​鍵です。​リカバリーフレーズは、​その鍵を​一式作り直せる​「元の​控え」で、​どちらも​知られると、​持ち主でなくても​動かせてしまいます。

要点

秘密鍵は​使う​権利を​示す秘密の​データで、​リカバリーフレーズから​ウォレット全体を​復元できます。

確認問題

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失う、​知られる​:何が​起こりうるか

鍵を​失えば​資産を​使えなくなり、​鍵を​知られれば​他人に​動かされる​おそれが​あります。

bitcoin.org(この節の出典の一覧へ) の​「Some things you need to know」は、​ビットコインには​間違いを​取り消す中央の​管理者が​いないと​述べています。​リカバリーフレーズを​なくすなどして、​自分で​管理する​ウォレットに​二度と​入れなくなった​場合、​開発者、​取引を​確認する​参加者​(マイナー)、​ウォレットの​提供者、​取引所の​いずれも、​資産を​取り戻せないと​説明しています。

架空の​例:控えを​なくしたとき

これは​架空の​例です。​ヒロさんは、​自分で​鍵を​管理する​スマホの​ウォレットに、​架空の​暗号資産Xを​100万円分​入れていました。​リカバリーフレーズは、​紙に​書いた​1枚だけです。

  1. 引っ越しの​ときに、​その紙を​なくします。
  2. その後スマホが​壊れ、​ウォレットを​作り直す手が​かりが​なくなります。

台帳に​Xの​記録が​残っていても、​ヒロさんは​動かせません。​ビットコインに​ついての bitcoin.org の​説明と​同じ仕組みなら、​取り戻せる​人は​いません。

反対に、​秘密鍵や​リカバリーフレーズを​知った​人は、​持ち主でなくても​資産を​動かせます。​bitcoin.org は、​取引は​元に​戻せず、​返金できるのは​受け取った​側だけだと​説明しています。

bitcoin.org の​「Securing your wallet」は、​控えを​一か​所だけに​置くと、​一つの​出来事で​復元できなくなる​おそれが​高まる​ことや、​オンラインの​控えは​盗まれやすい​ことを​挙げています。

やさしく​言うと、​鍵を​失うと​自分が​使えず、​知られると​人に​使われます。

要点

鍵を​失うと​取り戻せる​人は​いません。​知られると、​取引は​元に​戻せません。

暗号資産交換業者に​預ける場合

暗号資産交換業者​(登録を​受けた​事業者)に​預けると、​秘密鍵は​交換業者が​管理する​形に​なり、​法令上の​決まりが​課されます。

資金決済に​関する​法律は、​他人の​ために​暗号資産の​管理を​する​ことを、​暗号資産交換業の​一つと​しています​(2026年10月時点)。​金融庁(この節の出典の一覧へ)の​事務​ガイドラインは、​交換業者が​利用者の​関与なく、​利用者の​暗号資産を​移転できるだけの​秘密鍵を​もつ​場合などを、​この「暗号資産の​管理」に​あたると​しています。

暗号資産交換業者には、​同じ法律の​第63条の​11に​より、​利用者の​暗号資産を​自己の​暗号資産と​分けて​管理する​ことなどが​求められ​ています。​内閣府令は、​利用者の​暗号資産を​移転する​ために​必要な​情報を、​原則と​して​常時​インターネットに​接続していない​電子機器などで​管理する​よう​定めています。​必要な​最小限度と​して、​日本円に​換算した​金額で、​管理する​利用者の​暗号資産の​5%までは​例外です。

それでも、​リスクが​なくなるわけでは​ありません。​金融庁・消費者庁・警察庁の​注意喚起は、​サイバーセキュリティの​リスクなどの​説明を​交換業者から​受ける​ことと、​ウォレットの​パスワードを、​IDと​同じものや​推測しやすい​ものにしない​ことを​挙げています。​「金融商品取引法及び資金決済に​関する​法律の​一部を​改正する​法律」​(令和8年法律第64号)は​2026年7月23日に​公布されました。​主な​規定は、​公布の​日から​起算して​1年を​超えない​範囲内で​政令で​定める​日に​施行されます。​2026年10月時点では​未施行で、​ここまでの​説明は​同月時点の​条文に​よります。​施行後は、​資金決済に​関する​法律から​暗号資産の​章が​削られます。

やさしく​言うと、​交換業者に​預けると​鍵の​保管は​交換業者が​行い、​交換業者への​決まりも​ありますが、​IDと​パスワードの​管理は​利用者の​役目です。

要点

暗号資産交換業者に​預ける​場合、​鍵は​交換業者が​管理し、​法令上の​決まりが​課されます。

自分で​鍵を​管理する​場合と、​ふたつの比較

自分で​鍵を​管理すると、​預け先の​事情には​左右されませんが、​守る​責任は​すべて​自分に​あります。

bitcoin.org(この節の出典の一覧へ) の​「Some things you need to know」は、​自分で​秘密鍵を​もてば​資産を​自分で​管理できる​一方、​その安全を​守る​責任も​自分に​あると​述べています。​取引所などに​預ける​場合は、​預け先が​資産を​守り、​引き出しに​応じる​ことに​頼る​ため、​預け先の​安全対策や​支払い​能力が​自分と​資産の​間に​入ります。​同じ資料は、​これを​カウンターパーティリスクと​呼んでいます。

預ける​場合と、​自分で​鍵を​管理する​場合の​ちが​い​(上で​見た​資料を​もとに​した、​この教材の整理⁠)

観点暗号資産交換業者に預ける自分で​鍵を管理する
鍵をもつのは交換業者自分
主な責任IDと​パスワー⁠ドの管理鍵と​バックアップの保管
主なリスク預け先の​安全対策や​支払い​能力、​ID・パスワー⁠ドの流出紛失と​漏えい。​失うと​取り戻せない
法令上の決まり交換業者には​管理の​決まりがある交換業者への​決まりは​及ばない​(自分で守る⁠)

どちらの方法も、すすめるものではありません

自分で​鍵を​もつ​方法に​重きを​置く​資料も​あれば、​登録を​受けた​事業者かの​確認と、​事業者の​説明の​理解を​呼びかける​資料も​あります。​この教材は、​どちらの​方法も、​特定の​事業者も、​すすめません。

やさしく​言うと、​「誰が​鍵を​守るか」が​違い、​どちらにも​責任と​リスクが​別の​形で​残ります。

要点

どちらの​方法にも、​責任と​リスクが​あります。​違いは、​誰が​鍵を​守るかです。

鍵を​ねらう詐欺の型

投資話で​資金を​だまし取る​型の​ほかに、​鍵や​パスワード​そのものを​聞き出す型が​あります。

金融庁・消費者庁・警察庁(出典「暗号資産に関するトラブルにご注意ください!」を別のタブで開きます)の​注意喚起は、​令和2年度に​寄せられた​消費生活相談の​典型事例と​して、​「絶対に​もうかる」と​勧められて​投資したが​出金できない、​出金に​追加費用を​求められた、と​いった​事例を​挙げています。​これらは​資金を​だまし取る​型です。​このほか、​パスワードが​使えなくなり、​フィッシングサイトに​アクセスしたと​思われる​相談事例も​挙げています。

鍵を​聞き出す型と​して、​bitcoin.org(出典「Avoid Scams - Bitcoin」を別のタブで開きます) は​次の​手口を​挙げています。​サポート担当を​名乗る​手口と​フィッシングは、​ethereum.org(出典「Ethereum security and scam prevention | ethereum.org」を別のタブで開きます) も​挙げています。

  • サポート担当を​名乗り、​確認や​復旧を​口実に、​フレーズや​秘密鍵を​聞き出す。
  • 過去の​被害者に、​資産を​取り戻すと​持ち掛け、​前払いの​料金を求める。
  • 偽の​サイトに​ウォレットを​つなげさせ、​資産を​動かす許可を​与える​取引に​署名​(持ち主だと​示す操作)⁠させる。
  • 偽の​メールや​サイトで、​パスワードや​フレーズを​入力させる​(⁠)⁠。
  • 改ざんされた​専用機器などを売る。

bitcoin.org は、​正規の​個人、​事業者、​サポート担当が、​リカバリーフレーズや​秘密鍵を​尋ねる​ことは​なく、​資産の​回復を​保証する​正規の​業者も​ないと​述べています。​鍵を​尋ねない​点は、​ethereum.org も​同様です。

理由が何であっても、鍵は渡さない

「本人確認の​ため」​「復旧の​ため」と​言われても、​リカバリーフレーズや​秘密鍵を​伝えれば、​資産を​動かす​権利を​渡すことに​なります。​求められた​時点で、​詐欺を​疑います。

やさしく​言うと、​「鍵を​教えて」と​言ってくる​相手は、​理由が​何でも​まず​疑う​相手です。

要点

正規の​窓口が、​リカバリーフレーズや​秘密鍵を​尋ねる​ことは​ないと​説明され​ています。

確認問題

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困った​ときの相談先

不安な​ときや​被害に​あった​ときは、​公的な​相談窓口が​あります​(2026年10月時点⁠)⁠。

金融庁(この節の出典の一覧へ)の​ページと、​金融庁・消費者庁・警察庁(出典「暗号資産に関するトラブルにご注意ください!」を別のタブで開きます)の​注意喚起には、​次の​相談窓口が​載っています。​注意喚起は、​困った​ときは​一人で​抱えず、​相談窓口に​相談する​よう​呼びかけ​ています。

  • 暗号資産を​含む金融​サービスの​一般的な​相談:金融庁の​金融サービス​利用者相談室​(平日10時から​17時、​ナビダイヤル0570-016811。​IP電話からは​03-5251-68⁠1⁠1⁠)⁠。
  • 暗号資産の​不審な​勧誘の​相談:消費者​ホットライン188​(局番なし)。​最寄りの​消費生活相談窓口が​案内されます。
  • 詐欺と​思われる​トラブル:​最寄りの​警察本部、​警察署。​警察相談専用電話は​#9110で、​受付時間は​都道府県に​より​異なります。
  • そのほかの​一般的な​相談:日本暗号資産等取引業協会​(電話03-3222-10⁠6⁠1⁠)⁠。

国民生活​センター(出典「SNSやマッチングアプリ、友人・知人からの誘いをきっかけとした暗号資産のトラブル-その話、うのみにしないで-_国民生活センター」を別のタブで開きます)も、​不安に​思った​場合や​トラブルに​あった​場合は、​すぐに​最寄りの​消費生活​センターなどに​相談する​よう​案内しています。

やさしく​言うと、​鍵の​扱いや​勧誘で​迷ったら、​公的な​窓口に​聞くことが​できます。​この教材は、​暗号資産の​売買を​すすめる​ものでは​ありません。

要点

迷った​ときや​被害に​あった​ときは、​公的な​窓口に​相談できます。

理解度チェック

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まとめ

このレッスンで​押さえたい​ことです。

  • ウォレットが​管理しているのは、​暗号資産​そのものではなく、​台帳に​ある自分の​分を​動かすための鍵です。
  • 自分で​管理する​ウォレットで​秘密鍵や​リカバリーフレーズを​失うと、​取り戻せる​人は​いません。​知られると、​他人に​動かされる​おそれが​あります。
  • 暗号資産交換業者に​預ける​場合は​交換業者が​鍵を​管理し、​法令上の​決まりが​課されます。​自分で​管理する​場合は、​鍵と​バックアップを​自分で​守ります。​どちらにも​責任と​リスクが​あります。
  • 正規の​窓口が、​リカバリーフレーズや​秘密鍵を​尋ねる​ことは​ないと​説明され​ています。​求められたら​詐欺を​疑います。
  • 迷った​ときは、​金融庁の​相談室、​消費者​ホットライン188、​警察などに​相談できます。

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出典と最終確認日

このレッスンの​事実は 2026年10月11日 に​確認しました。

ご利用にあたって

この教材は​一般的な​情報を​伝える​ための​もので、​特定の​商品の​売買や​投資を​勧める​ものでは​ありません。​税や​法律など​個別の​判断は、​金融庁や​国税庁などの​公的な​情報を​確かめたうえで、​専門家に​ご相談ください。