ステーブルコインの​基本を知る

  • レベル やさしい
  • 読む時間 約10分
  • 最終確認日 2026年10月11日
  • 投資を勧めるものではありません

このレッスンで分かること

  • ステーブルコインとは​何かと、​資料に​ある分け方を​説明できる
  • 日本の​法令上の​「電子決済手段」と、​取り扱う​事業者の​登録の​しくみを知る
  • 裏付け資産の​種類と、​価格が​連動から​外れる​ことがある​理由を知る

先に読むとよいレッスン:暗号資産とは何か、交換業者と​利用者を​守る決まり

目次

ステーブルコインとは​何かを知る

ステーブルコインは、​価値を​円などの​法定​通貨に​合わせて​安定させる​ことを​目指す、​ブロックチェーン​上の​財産的価値です。

点線の​下線が​ある語は、​押すと​意味が出ます。

金融審議会の​資金決済​ワーキング・グループ(出典「金融審議会 資金決済ワーキング・グループ 報告」を別のタブで開きます)の​報告​(2022年1月11日)は、​いわゆるに​明確な​定義は​存在しないと​しています。​そのうえで、​一般には、​特定の​資産と​関連して​価値の​安定を​目的とし、​分散台帳技術を​用いる​デジタルアセットを​指すと​整理しています。​分散台帳技術は、​ブロックチェーンのような​技術の​ことです​(この​教材の補足⁠)⁠。

日本銀行の​決済機構局長の​講演(出典「技術革新と地政学リスクの下での通貨・決済システムの未来」を別のタブで開きます)​(2025年7月31日)は、​ステーブルコインを、​ブロックチェーン​上で​流通する​暗号資産の​一種で、​ビットコインのように​値動きの​激しい​ものとは​異なり、​価値が​安定的で​決済手段と​して​使われうる​ものと​説明しています。​ここでの​「暗号資産」は​広い​意味の​呼び方です​(この​教材の​補足)。​日本の​法令では、建ての​資産の​うち、​不特定の​人への​支払いや​売買に​使える​ものなどが​「電子決済手段」と​して​分かれます。​同じ講演は、​ステーブルコインの​用途と​して、​暗号資産の​取引の​決済手段と​しての​利用が​多く、​一部は​国際送金にも​使われていると​言われていると​述べています​(2025年7月時点⁠)⁠。

やさしく​言うと、​ステーブルコインは​「円などの​価値に​合わせる​ことを​目指して、​ブロックチェーン​上で​やりとりされる​財産的価値⁠」⁠です。

要点

ステーブルコインは、​価値を​法定通貨などに​合わせて​安定させる​ことを​目指す、​ブロックチェーン​上の​財産的価値です。

安定の​させ方に​よる​分類を知る

資料には、​同額での​払い​戻しを​約束するか​どうかで​分ける​考え方が​あります。

金融審議会の​報告は、​価値を​安定させる​仕組みに​よって、​ステーブルコインを​2つに​分けています。​1つは、​法定通貨の​価値と​連動した​価格​(例:1コイン=1円)で​発行され、​発行価格と​同額での​払い​戻し​(償還)を​約する​ものです。​もう​1つは、​それ以外で、​アルゴリズム​(決まった​計算手順で、​この教材の​補足)で​価値の​安定を​試みる​ものなどです。​報告は、​前者を​資金決済に​関する​法律の​通貨建資産、​後者を​基本的には​暗号資産に​当たると​しています​(2022年1月時点⁠)⁠。

資金決済に​関する​法律は、を、​通貨で​表示されるか、​通貨で​債務の​履行や​払い​戻しが​行われる​こととされている​資産と​定めています​(2026年10月時点)。​連動を​目指すだけで​払い​戻しの​約束が​ない​ものは、​通貨建資産に​当たるとは​限りません​(この​教材の補足⁠)⁠。

分け方の​例​(資料の​説明を​もとに、​この教材が​整理したもの⁠)

資料呼び方内容
金融審議会の報告デジタルマネ⁠ー⁠類似型法定通貨と​連動した​価格で​発行し、​同額の​払い​戻しを​約するもの
金融審議会の報告暗号資産型上の​もの​以外。​アルゴリズムで​価値の​安定を​試みるものなど
日本銀行の講演ペイメント・ステーブルコイン決済利用を​目的に、​価値の​安定を​重視した​もの​(米国での呼び方⁠)

やさしく​言うと、​「1コイン1円で​払い戻すと​約束しているか」が、​分け方の​手が​かりの​一つです。

要点

金融審議会の​報告は、​法定通貨と​同額での​払い​戻しを​約する​ものと、​それ以外に​分けています。

確認問題

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日本の​法令上の​扱いを知る

日本では、​2023年6月1日から、​「電子決済手段」と​いう​区分の​制度が​始まっています。

金融庁(この節の出典の一覧へ)に​よると、​令和5年​(2023年)​6月1日から、​電子決済手段等取引業に​関する​新しい​制度が​始まりました。​この制度を​設けた​「安定的かつ​効率的な​資金決済制度の​構築を​図る​ための​資金決済に​関する​法律等の​一部を​改正する​法律」​(令和4年法律第61号)は、​2022年6月3日に​成立し、​2022年6月10日にされ、​主な​規定は​2023年6月1日にされました。

資金決済に​関する​法律は、の​主な​ものを、​次のように​定めています​(2026年10月時点)。​代価の​弁済の​ために​不特定の​者に​使え、​不特定の​者を​相手に​売買も​できる​通貨建資産で、​ネットワークを​使って​移転できる​ものです。​有価証券や​前払式支払手段などは​除かれます。​同じ法律の​暗号資産の​定義は、​通貨建資産と​電子決済手段を​除いています。

電子決済手段と​暗号資産​(資金決済に​関する​法律の​定義の​言い換え。​2026年10⁠月時点⁠)

観点電子決済手段暗号資産
価値の表し方主に​円や​外貨などの通貨建て通貨建てではない
扱う事業電子決済手段等取引業暗号資産交換業

やさしく​言うと、​円などの​通貨建てで、​支払いや​売買に​使える​ステーブルコインは​主に​「電子決済手段」、​それ以外で​暗号資産の​定義に​当たる​ものは​「暗号資産」と​して、​決まりが​分かれています。

要点

円などの​通貨建てで、​支払いや​売買に​使える​ステーブルコインは、​主に​「電子決済手段」と​して​扱われます。

発行者と​取扱事業者を知る

電子決済手段を​売買や​管理などの​業と​して​行うには、​原則と​して​内閣総理大臣の​登録が​必要です。

電子決済手段の​売買や​交換、​その媒介・取次ぎ・代理、​他人の​ための​管理を​業と​して​行う​ことはです。​資金決済に​関する​法律は、​原則と​して​内閣総理大臣の​登録を​受けた​者でなければ​行っては​ならないと​定めています​(2026年10月時点)。​ただし、​発行者である​銀行等や​資金移動業者が、​自分の​発行する​電子決済手段に​ついて行う​場合は、​届出に​よって​行える​特例が​あります。​登録を​受けた​事業者は、​金融庁(出典「暗号資産・電子決済手段関係」を別のタブで開きます)の​「電子決済手段等取引業者登録一覧」で​確かめられます。

登録業者は、​利用者の​電子決済手段を​自己の​ものと​分けて​管理し、​その状況に​ついて​定期に​公認会計士または​監査法人の​監査を​受けます。​また、​取り扱う​電子決済手段を​発行する​者と、​損害が​生じた​ときの​賠償責任の​分担などを​定めた​契約を​結びます​(内閣府令で​定める​場合を除く⁠)⁠。

発行する​側に​ついて、​資金決済に​関する​法律は、​電子決済手段を​発行する​銀行等​(銀行や​信用金庫など)と​資金移動業者を​前提に​した​特例を​設けています​(2026年10月時点)。​また、​金銭信託の​受益権で、​信託された​金銭の​管理方法が​内閣府令の​要件を​満たすもの​(特定信託受益権)も、​電子決済手段と​して​定められ​ています。​これを​発行する​信託会社の​一部​(特定信託会社)は、​届出に​より​特定資金移動業を​営めます。

やさしく​言うと、​売買や​預かりを​する​側には​原則と​して​登録が​必要で、​発行者が​自分の​発行分を​扱う​ときには、​届出に​よる​特例が​あります。

要点

電子決済手段の​売買や​管理などは、​原則と​して​登録を​受けた​事業者が​行います。

裏付け資産と​リスクを知る

価格の​連動は、​裏付け資産の​安全性や、​発行者の​信用と​運用に​支えられ​ています。

日本銀行(出典「技術革新と地政学リスクの下での通貨・決済システムの未来」を別のタブで開きます)の​講演は、​ペイメント・ステーブルコインでは、​銀行預金や​短期国債など、​流動性​(すぐ​現金に​できる​度合い)と​安全性が​高い​資産が、と​して​分別管理され、​価値が​保全されると​説明しています。​一方、​流動性が​低く​信用リスクも​ある資産を​持つ​ものは、​払い​戻しを​求められた​ときに、​額面で​迅速に​応じられるのかが​問題に​なると​述べています。

同じ講演は、​保有者の​多くが、​発行者から​額面で​払い​戻しを​受けるのではなく、​市場で​コインを​売って​他の​形の​お金に​換えており、​価格変動の​リスクを​負っていると​述べています。​金融審議会の​報告は、​アルゴリズムで​価値の​安定を​図る​ものに​ついて、​価値が​急減した​事例も​指摘されていると​しています。

やさしく​言うと、​裏付け資産が​安全な​ほど​払い​戻しに​備えやすい​一方、​多くの​保有者は​市場で​売って​換える​ため、​価格変動の​リスクを​負います。

架空の​例:​連動から​外れたとき

これは​架空の​例です。​架空の​ステーブルコインZは、​1コイン1円への​連動を​目指しています。​ケイさんは​10万コインを​持っています。

  1. 市場での​Zの​価格が​1コイン0.98円に​下がり、​市場で​売ると、​10万​コイン × 0.98円で​9万8,000円に​なるとします。
  2. 発行者が​1円で​払い戻せば​10万円ですが、​応じて​もらえるかは​別の​問題です。

払い​戻しに​応じて​もらえるかは、​発行者の​信用や​裏付け資産の​運用に​左右されます​(この​教材の補足⁠)⁠。

「ステーブル」は、安定の約束ではありません

日本銀行の​講演は、​ステーブルコインの​中には、​価値が​そこまで​安定していない​ものも​あると​述べています。​名前に​「安定」と​あっても、​価格や​払い​戻しが​約束されているとは​限りません。

要点

連動は、​裏付け資産と​発行者の​信用に​支えられており、​価格が​連動から​外れる​ことがあります。

確認問題

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海外発行の​ものの​扱いを知る

海外の​信託銀行などが​発行する​ものは、​日本の​制度との​同等性が​確保された​ものが、​電子決済手段と​して​規定され​ています。

金融庁(この節の出典の一覧へ)は、​2026年5月19日に、​電子決済手段等取引業者に​関する​内閣府令の​改正を​公布しました。​この改正は、​日本の​電子決済手段の​法制度との​同等性が​確保された​外国の​法令に​基づく​信託の​受益権を、​電子決済手段と​して​規定します。​2026年6月1日から​施行・​適用され​ています。

同じ改正では、​電子決済手段等取引業者が​外国で​発行された​電子決済手段を​扱うことが​適切かの​判断で、​日本の​法制度との​同等性を​基準に​する​ことも​明確に​されました。​金融庁は、​日本の​法制度と​比べて​監督・規制の​強度が​不十分な​外国の​法制度で​発行された​ものが​国内で​使われると、​国内の​利用者を​害する​おそれが​あるためと​説明しています。

資金決済に​関する​法律は、​電子決済手段等取引業の​登録の​申請書に、​取り扱う​電子決済手段の​名称と、​それを​発行する​者の​商号または​名称、​住所を​書くよう​定めています。​外国の​法令で​同種の​登録を​受けた​事業者も、​日本で​営むには​登録が​必要で、​国内の​代表者を​置く​必要が​あります​(2026年10月時点⁠)⁠。

やさしく​言うと、​海外で​発行された​ものを​日本で​扱えるかは、​発行された​国の​決まりが、​日本と​同じ水準かを​見て​判断されます。

要点

海外発行の​ものを​日本で​扱えるかは、​日本の​電子決済手段の​法制度との​同等性を​基準に​判断されます。

2026年の​法改正を知る

2026年7月23日に​公布された​改正法は、​2026年10月時点で​主な​規定が​未施行です。

「金融商品取引法及び資金決済に​関する​法律の​一部を​改正する​法律」​(令和8年法律第64号)は、​2026年7月15日に​成立し、​2026年7月23日に​公布されました。​暗号資産に​関する​主な​規定は、​公布から​1年を​超えない​範囲内で​政令で​定める​日に​施行されます。​2026年10月時点では​未施行で、​このレッスンは、​2026年10月時点の​条文に​よる​説明です。​罰則に​関する​一部の​規定などは、​公布の​日や、​公布から​20日を​経過した​日に、​すでに​施行され​ています。

改正法の​条文では、​資金決済に​関する​法律から​暗号資産に​関する​章が​削られ、​「電子決済手段・暗号資産​サービス仲介業」​(登録業者の​委託を​受けて​売買の​媒介だけを​行う​事業)の​呼び名が​「電子決済手段​サービス​仲介業」に​改められます。​電子決済手段の​定義の​規定は、​この法律に​よる​改正の​対象に​入っていません。​改正後の​金融商品取引法の​暗号資産の​定義も、​通貨建資産と​電子決済手段を​除いています。

やさしく​言うと、​暗号資産の​決まりは​金融商品取引法の​側へ​移りますが、​電子決済手段の​定義は、​この改正では​変わりません。

要点

改正法は​公布済みで、​暗号資産に​関する​主な​規定は​未施行です。​電子決済手段の​定義の​規定は、​この改正の​対象に​入っていません。

理解度チェック

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まとめ

このレッスンで​押さえたい​ことです。

  • ステーブルコインは、​価値を​法定通貨などに​合わせて​安定させる​ことを​目指す、​ブロックチェーン​上の​財産的価値です。
  • 日本では、​円などの​通貨建てで、​支払いや​売買に​使える​ものは​主に​「電子決済手段」で、​その売買や​管理などは​原則と​して​内閣総理大臣の​登録が​必要です​(2026年10月時点⁠)⁠。
  • 連動を​目指していても、​市場の​価格が​下がることが​あります。​払い​戻しに​応じて​もらえるかは、​裏付け資産と​発行者の​信用に​左右されます。
  • 海外で​発行された​ものを​日本で​扱えるかは、​日本の​法制度との​同等性を​基準に​判断されます。
  • 令和8年法律第64号は​公布済みで、​主な​規定は​未施行です。​電子決済手段の​定義は、​この改正の​対象に​入っていません。

ステップ2の確認テスト

これで、​このステップの​レッスンは​最後です。​確認テストで、​理解を​確かめてみましょう。

10問。成績を​競う​ものでは​ありません。​結果は、​この端末にだけ​保存されます。

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出典と最終確認日

このレッスンの​事実は 2026年10月11日 に​確認しました。

ご利用にあたって

この教材は​一般的な​情報を​伝える​ための​もので、​特定の​商品の​売買や​投資を​勧める​ものでは​ありません。​税や​法律など​個別の​判断は、​金融庁や​国税庁などの​公的な​情報を​確かめたうえで、​専門家に​ご相談ください。